食洗機を阻む30センチの壁 「一家に一台」になれるのか、メーカーの苦悩:令和の神器(3/4 ページ)
令和の現代人に欠かせない「新・三種の神器」は、「ドラム式洗濯機」「ロボット掃除機」「食洗機」だといわれている。スリーエムの調査によると、新・三種の神器のうち、いちばん多くの人が所有している家電は食洗機(36%)だった。しかし詳細を見ると、新築や持ち家のなどビルトイン型が大多数を占め、賃貸住宅では、普及しているとは言い難い。食洗機を賃貸住宅にも普及させようと、家電メーカー各社が知恵を絞っている。
小さくて安い、を維持するサンコー
食器洗いは、1人暮らしでもファミリーでも、どの層をとっても発生する家事だ。「1〜2人分の食洗機が欲しい」「単身者でも使える食洗機はないか」。こういったニッチな声を製品化したのが、サンコーの食洗機「ラクアmini」だ。
サンコーは、コロナ直前の20年2月にファミリー向けの食洗機「ラクア」を販売開始。それに寄せられた購入者のレビューを見ていたところ、上記のようなコメントが多々寄せられており、開発を始めたという。
高い洗浄力を維持するため、庫内の水流の出口や当たる角度を調整。箸など小物入れを斜めに立てるなど省スペース化を図り、1〜2人分の食器が入る内容量を確保した。22年2月から発売したところ、人気を博し5月末時点で約1000台を販売。現時点でも予約待ちの状態が続き、ラクアシリーズ全体では、約12億7000万円を売り上げたという。
同社広報部のえき晋介さんによると、「食洗機は常に外に出して使うため、目に触れる家電の1つです。インテリアの意味合いも込めて、極力シンプルなデザインにするなど、外観にもこだわりました」という。また、円安や原料費高騰のあおりは受けているそうだが、値段も原価ギリギリまで抑えて、ターゲットである若年層が購入しやすい価格帯を維持している。
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