渋谷に「飲めない人のバー」 微アルコール元祖のアサヒビール、狙うは1330万人の未開拓市場:スマートドリンキングを推進(2/3 ページ)
「“飲めない人”が主導権を握れるバー」──。アサヒビールと電通デジタルが共同で設立したスマドリが、6月30日から渋谷センター街にオープンする「SUMADORI-BAR SHIBUYA」を、同社のブランドマネジャー加藤寛康さん、京谷めいさんはそう表現する。今回のバー出店の背景には、アサヒが推進しているプロジェクト「スマートドリンキング」がある。
「飲めない人」が来たくなる店舗設計
今回、スマドリバーがターゲットとして狙うのは、「お酒は飲めない・飲まないけど飲みの場は好き」という層だ。同社によれば、前述の約4000万人のうち、33.3%(約1330万人)が該当するという。
「ヒアリングや市場調査を重ねる中で、そういった人たちの『お酒は苦手だが、居酒屋などのソフトドリンクには飽きた』『飲める人と一緒に気兼ねなくその場を楽しみたい』という声がかなり多いことが分かり、そのニーズにフォーカスしました」(スマドリ ブランドマネジャーの加藤寛康さん)
ここで疑問なのが、「飲めない人・飲まない人はそもそもバーに行かないのではないか?」ということだ。飲めない・飲まない側からすると、バーという場所に対して「飲まないのに行っていいのだろうか」「そもそも行くのにハードルが高い」「なんだか怖いし入りづらい」といった抵抗があるのは否めない。
「そういった精神的な障壁を取り除くため、飲めない人・飲まない人に徹底的にヒアリングをし、店舗設計から工夫を凝らしました」(スマドリ ブランドマネジャーの京谷めいさん)。ウッド調でナチュラルなデザインの店内は、「周りに気を遣わず安心してみんなと一緒に楽しめること」と「BARを訪れた非日常感」を感じられる空間づくりを重視したという。
また、明るさのレベルにもこだわり、お酒で顔が赤くなっても気にならない、気を遣われない程度の明るさに設定した。外観もあえて全面ガラス張りにすることで、「暗い」「入りづらい」といった要素を排除した。
ドリンクメニューは、3度数(0%、0.5%、3%)と常時30〜40種類のフレーバーを組み合わせ、全100種類以上を提供。各テーブルにメニューのチャート表を配置し、好みに合わせて注文しやすいよう工夫する。
また、飲めない人・飲まない人の多くは、お酒の場での食事に対して「おつまみだから量が少ない」「お腹いっぱいにならない」という不満を持っているという。そのため、フードメニューにもその声を反映し、アルコールとの相性を気遣いつつ、シェアしながら食べられるメニュー設計とした。
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