パソナの淡路島移転計画はどうなっている? 家族で引っ越した社員が語ったリアルな日常:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
パソナが着々と社員の淡路島移住を進めている。実際に働いている社員はどういったことを考えているのか。現地で増えている商業施設の状況も取材した。
転入者が増加
国勢調査によれば、淡路市の人口は00年には約5万2000人であったが、20年には約4万2000人へと20年間で1万人ほど減っている。しかし、20年における兵庫県の人口動態調査では、転出者と転入者の差を表す社会増減が、05年に5町が合併して市制を施行して以来、初めて増加に転じ、69人増えた。
この人口増加には、パソナの本社機能移転や活性化事業が多大な貢献をしている。
コロナ禍は、東京にばかり人口が集中してきた日本のいびつな状況を見直すきっかけになった。パソナが淡路島で取り組む、新しい生活スタイルへのチャレンジは、具体的な成果も出てきている。地域振興や働き方を変えていくモデルケースになり得る、実験的な取り組みと言えるのではないだろうか。実際、地方自治体からの視察も多いそうだ。
「『淡路島では夜、飲みに行く場所もなくてつまらないでしょう』と、東京に住んでいる人からよく言われます。でも、淡路島には住んでいる人が増えて、新しく居酒屋ができている場所もあります。飲み屋街はなくても、選べるくらいのお店の数はあります。通勤時間が短いので、東京に居た時よりも長い時間飲めるくらいですよ」(前出・佐藤広報部長)
神戸や大阪も案外と近い淡路島。都会の刺激に触れる機会がないわけではなく、適度な田舎暮らしができる場所と言えそうだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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