「KDDIの会見、やらなくてよかったんじゃね」問題 どう考えるべきか:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
KDDIの大規模な通信障害を受けて、興味深い問題が持ち上がっている。原因がよく分かっていない状況の中で、「会見を開く必要はあったのか」という指摘がある一方で、「早ければ早いに越したことはない」という意見もある。果たして、どちらが“正しい”対応なのだろうか。
KDDIの大規模な通信障害を受けて、危機管理を生業(なりわい)としている人たちにとって、非常に興味深い問題が持ち上がっている。
それは「KDDIの会見、やらなくてよかったんじゃね」問題である。
実はこれまでこのような通信障害が起きた場合、まずはしっかりと事態を収束させて、原因も判明した後に会見を開く、というのが通信業界の「暗黙のルール」だった。しかし、今回は発生翌日、原因もまだ分からない中で、高橋誠社長自らが登壇して会見を催した。背景には、「天の声」がある。会見での、高橋社長の言葉を引用させていただこう。
『会見も周知もお客様目線であるべきだと、官邸のほうから指示があったと総務大臣もおっしゃっていたが、そのような中で、我々のお客様対応、非常に申し訳ないなと思っています』
『今回、総務省からのご意見もあり、影響範囲も大きいのでいち早く社長の私から伝えた方がいいというお話もありました』
この露骨な「お上にやらされている感」を受けて、一部のメディアは苦言を呈している。例えば、CNET Japanではあの会見で、不具合の原因が語られなかったとしてこう伝えた。(参照リンク)
『それらの検証は障害の解消後に進められ、改めて説明するとのことだが、なのであればなぜ障害発生の真っ最中に、障害対応の指揮を取るべき企業のトップが、障害の詳細が分からない状態で説明会を開くのか?――という部分には疑問が残る。実際、会場に訪れた記者からは「詳細が判明してから説明した方がよいのでは」という声も少なからずあった』(CNET Japan 7月4日)
今回はできていなかったが、通信障害をユーザーに周知させることは、なにも会見を開かなくてもできる。そういう仕組みをしっかりと整備しておけば、障害対応に集中している社長に“意味のない会見”などやらせなくていいのではないかというわけだ。
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