「KDDIの会見、やらなくてよかったんじゃね」問題 どう考えるべきか:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
KDDIの大規模な通信障害を受けて、興味深い問題が持ち上がっている。原因がよく分かっていない状況の中で、「会見を開く必要はあったのか」という指摘がある一方で、「早ければ早いに越したことはない」という意見もある。果たして、どちらが“正しい”対応なのだろうか。
180度逆の意見
一方で、180度逆の意見もある。ネットやSNSでは、KDDIの通信障害中会見に対して、「早ければ早いに越したことはない」「現時点で分かっていることを説明するのは当然」など好意的な意見が多い。それどころか、専門的な技術を分かりやすく解説する高橋社長の姿に、「トップが迅速に対応して、しかも有能なことが分かって、KDDIの信頼感が爆上がりしている」なんて称賛の声が寄せられているくらいだ。
かたや「あんな会見ならばやらないほうがいい」と冷ややかな反応で、かたや「KDDI、見直したぜ」と大絶賛。果たしてどちらの言い分が正しいのだろうか。
「そんなもん、SNSの反応を見て分かるように、1秒でも早く会見を催すのが正解に決まってんだろ」という声が聞こえてきそうだが、厳密に言えば、実はどちらの見解も間違いではない。
なぜかというと、これらの2つの見解は、それぞれ自分が属している組織にどんなメリットがあるのか、という視点に基づいているからだ。つまり、自分の「立場」に基づいて「正しい」ことを主張されているだけなのだ。
まず、「会見やらなくてよかったんじゃね派」の人たちを見てみると、IT情報を扱う専門メディアやITジャーナリスト、さらには実際に通信業界で働いている方が圧倒的に多い。言うなれば、「通信ムラ」で生きる人々だ。
このような「中の人」たちは、通信業界内のメリットになる情報をやり取りするという基本的なスタンスがある。特に業界メディアの場合、読者の多くは通信業界や関連する職種の人々なので、彼らが興味のあることを、知りたいと願う情報を正確かつ詳細に伝えることにこそ存在意義がある。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人
人手不足が原因で倒産する企業が増えているようだ。東京商工リサーチのデータをみると、前年度から28.6%も増えて、過去最高を更新している。数字をみると、「人手不足=悪」のように感じるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.