2015年7月27日以前の記事
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森永康平が斬る 「値上げラッシュ本格化」の深層、「若者の結婚離れ」のウソスタグフレーションの時代【後編】(3/5 ページ)

参院選の各党の政策が出そろう中、政府も「骨太の方針」をはじめとする経済政策の方向性の議論を重ねている。経済アナリスト森永康平氏は、緊縮財政か積極財政かを議論する前に、そもそも税金の役割がきちんと理解されていないことが問題だと指摘する。値上げラッシュがなぜ本格化したのかといった疑問や、税金の本来の役割、少子化や地方の衰退といったテーマについて聞いた。

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「プライマリーバランス黒字化」は堅持すべきでない

――財政出動のための財源はどうするのか、という議論もあります。

 その議論は、そもそも税金の役割を理解していない人がしていて、これが問題だと考えています。税金は、景気の過熱を抑えたり、好ましくない行為を抑制するなど、役割はさまざまなのです。国内産業を保護するときにも関税という税金を用いることがあります。

 今のように経済が回っていない時は、減税をして民間から吸い上げるお金を減らすことによって、経済を復活させることもできます。

――景気が過熱しすぎている、というのはどういう状況ですか。

 日本のバブル経済はまさにそういう状況でしたが、本来なら必要ないものや買えないものを、借金してまで買うようなことになると、経済が実態に見合わない規模に膨らみます。それがずっと続くならば良いのですが、どこかで借金が返せなくなると、貸主である銀行が我先にと回収しようと動いて、一気に経済が縮んでしまい、信用収縮してしまったのがバブルの崩壊です。

――去年、日経平均株価はバブル以来の高値をつけました。都心部の不動産価格の高騰などを見ていても、実体経済よりも過熱している印象があります。

 過熱していたとしても、それは一部の投資家層の間だけだと見ています。ただ、消費税や所得税は、そうでない人にもかかってくる税金です。そこからもお金を吸い上げてしまうのは、筋の悪い手段だと思っています。

 むしろ、財政出動によって経済の底上げをしていくべきです。


都心部では不動産価格が高騰している(写真提供:ゲッティイメージズ)

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