「eKYC」が効果を発揮する業界とは? 最大の課題は?:eKYCのいま(2/3 ページ)
前回の記事では「eKYCとは何か」「なぜいまeKYCの取り組みが進んでいるか」を解説した。今回は具体例を挙げながら、実際にeKYCがどのように実現・活用されているかを見てみよう。
この点で注目されているのが、シェアリングエコノミー(共有経済)におけるeKYCの活用だ。不特定多数の人々が所有する遊休資産、あるいは空き時間を利用するシェアリングエコノミー型サービス(AirbnbやUberなど)では、参加する人々(資産や時間を提供する側と、それを利用する側の双方)が多ければ多いほどサービスの魅力が高まる。提供側は顧客を獲得するチャンスが上がるし、利用側は選択肢の幅が広がるからだ。
しかし多くの人々が参加すると、そこには悪意を持つ人々や、サービスを誠実に提供・利用しようとしない人々が紛れ込むリスクが高まる。
多くのシェアリングエコノミー型サービスでは、提供者・利用者双方の評価システムをつくるなどして、そうした望ましくない人々の排除に努めてきた。しかしプラットフォーム自体が参加者の身元チェックを行えば、より安全なサービスを実現でき、そして高い安全性は競争優位性として活用できる。そこでさまざまなプラットフォームが、独自のeKYCプロセスの開発・導入を進めるようになっている。
例えばAirbnbの場合、「政府が発行する身分証明書の提示や、利用者の住所が追跡できる資料の提示を求める場合がある」とされている。当然ながらそうした資料の確認を、オフラインで行うわけではない。さまざまな確認用書類の提出を電子的に行うことができ、アプリやブラウザを通じた書類の撮影・送信もできるようになっている。
もちろんこうしたeKYCプロセスの構築を、シェアリングエコノミー型サービスを提供する企業が自ら開発する必要はない。前述のJumioのような専門の外部企業を利用できるだろう。そうすることで、eKYCプラットフォーム自体がより多くの顧客を獲得。eKYCサービスが改善され、ますます多くの業界でeKYCプロセスが導入・利用されるようになるという流れも考えられる。
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