産業医が警告! 「フルリモート」や「1日4件のWeb会議」が危険なワケ:その働き方、大丈夫?(3/5 ページ)
新型コロナウイルスをきっかけに浸透したリモートワークは、効率的な働き方だが、一歩間違えると大きな“副作用”を生む可能性があるという。「やりすぎ注意」なポイントとは? 産業医の志村哲祥氏が解説する。
「睡眠の質」をコントロールするための12か条
では、何から手をつければいいのでしょうか。すでに厚生労働省が発表している睡眠衛生に関する12か条を参考に、解説していきます。
健康づくりのための睡眠指針 2014〜睡眠12箇条〜
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針 2014〜睡眠12箇条〜」より引用
ピックアップして説明する前に、前提として、睡眠の質をコントロールするためには「積極的に何かをする」よりも「マイナス要因をつぶしていく」対策の方が選択肢としては多く、効果もあると言えます。
何かを改善しようとすると「特別な対策を日常生活でさらに加えていかなければならないんじゃないか」と思いがち、そして改善を諦めてしまいがちです。しかし実際は、いつもの習慣を少し変えてみるだけで、十分に睡眠の質をコントロールしていけます。
あまり気負わずに取り組んでいただけたらと思います。
週末の寝溜めを推奨しない理由
最初に取り組んでいただきたいのは、12か条の7番「体内時計のリズムを保つ」です。ぜひ毎日の就寝と起床の時間を一定に保ってください。
仕事のない休日は夜更かししたり、心ゆくまで朝寝坊したりして寝たい気持ちも分かりますが、平日と休日の睡眠リズムが乖離(かいり)しすぎると、「ソーシャルジェットラグ」、つまり時差ぼけのような不調が発生し、体に負担がかかります。
もしも睡眠時間が普段5時間になってしまっていて、休日にはたくさん寝たいという方は、いつも寝ている時間帯の中間地点をそろえるようにしましょう。
例えば平日午前0時〜午前5時に睡眠されている方が、休日に8時間寝ようと思う場合には、真ん中の午前2時30分を起点にして、午後10時30分〜午前6時30分で睡眠時間をとるようなイメージです。
普段の睡眠時間の短さを気にして不自然な時間に寝てしまうよりも、睡眠リズムを一定にしてあげたほうが睡眠の質が向上することが分かっています。
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