「つながらない権利」を守るために、企業がすべき3つのこと:切ない事態を招かないために(1/4 ページ)
テレワークの普及にともなって、「つながらない権利」を耳にする機会が増えてきた。業務外の時間に、会社からメールや電話への対応を拒否する権利のことだが、日本ではまだまだ整備が進んでいない。こうした状況の中で、企業はどのように対応すればいいのだろうか。
「つながらない権利(right to disconnect)」とは、業務終了後や休日など、勤務時間外に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のことである。昨今、この言葉を耳にする機会も増え、人々の関心が高まっている。しかし国内での法整備はなかなか進んでいないのが実情だ。そこで本記事では、「つながらない権利」を尊重するために、企業としてできることなどを解説する。
海外での「つながらない権利」の動き
家族や友人とレジャーを楽しんでいる休日に、突然かかってきた上司からの電話で、一気に現実に引き戻されるような気分になった経験がある人も少なくないだろう。「気づかないふりをしようか」「いや、何かあったのかもしれない」と葛藤しながらも対応し、結局休日出勤をせざるを得なくなったケースもあるかもしれない。
このような切ない事態を招かないためには、自分のプライベートな時間に、仕事との関わりを持たないことが重要だ。つまりは「つながらない権利」の尊重である。
フランスではコロナ禍以前の2016年に、労働法改正においてこの権利が盛り込まれ、翌年1月に施行されている。具体的には、従業員数50人以上の企業に対し、勤務時間外のメール対応などに関する取り扱いを労使で協議することを義務付けた。(参照リンク)
同年にはイタリアでも、雇用契約に「つながらない権利」についての明記を義務づける法令が制定。その後、カナダや英国、メキシコをはじめ世界各国で議論や法整備が加速している。
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