なぜ、コストコ最新店舗に「3800万円」の商品が? 単なる“客寄せパンダ”ではない理由:栃木に初進出(4/4 ページ)
コストコが栃木に初出店した。6月23日のオープン日には多くの人が殺到した。店内で3800万円の高額商品を販売している狙いを筆者が考察。
新しい商品戦略とは
小売り業が売り上げを上げる方策は、(1)商圏人口を増やす、(2)シェアを高める、(3)マーケットサイズ(取扱商品アイテム数)を増やすのいずれかです。コストコはビジネスモデル上、人口とシェアを大きく増やすことはできません。そのため、今後は(3)のマーケットサイズの付加、つまり、新規商品投入がカギを握ります。
しかし、売り場面積1万平米、取扱商品3500アイテムという基本フォーマットがあるため、アイテム数を極端に増やすことはなかなか難しい話です。従って、アイテム数を大きく増やすことなしに、一品単価の高い新規商品投入という新たな方法を試しているのです。販売数量は期待できなくても、販売単価のとれる商品を投入することで、売り上げを付加することができるからです。
これがコストコの新しい商品戦略です。
今は特に物価高で、物の値段が上がっている時なので、今後、あらためてコストコの集客力が目立つ状況が続くでしょう。
しかしコストコのように低価格を売りにする店であっても、高価格の付加価値商品を販売するなど、新しい試みをしていかなければ継続成長は難しい時代に入り始めました。
コストコレベルの企業でも、従来の成長モデルを続けるだけでは生き残りは難しいと判断しているということです。それをコストコの高単価商品投入は物語っています。
時代は常に変わります。企業はその時流にあわせて自らが変わらなければならないのです。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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