JR東、ローカル35路線すべての区間で赤字 収支を初公表したワケは?:国も見直し提言(1/2 ページ)
R東日本は7月28日、利用客が極めて少ないローカル線を対象に、区間ごとの収支を初めて公表した。公表されたのは35路線66区間で、すべてが赤字だった。人口減少や近年の新型コロナウイルスの流行で鉄道利用者が激減し、存続が危ぶまれている路線も数多い。
JR東日本は7月28日、利用客が極めて少ないローカル線を対象に、区間ごとの収支を初めて公表した。公表されたのは35路線66区間で、すべてが赤字だった。人口減少や近年の新型コロナウイルスの流行で鉄道利用者が激減し、存続が危ぶまれている路線も数多い。同社は、採算を明らかにすることで路線の見直しに対する理解を広げ、持続可能な公共交通の形について沿線自治体などとの議論につなげたい考えだ。
公表したのは、2019年度実績で1キロあたりの1日の平均利用者(輸送密度)が2000人未満の区間。JR東管内の在来線66路線のうち、約半数が公表対象となった。
公表された資料によると、最も赤字額が大きかったのは、羽越本線の村上―鶴岡で、19年度は49億円、20年度は53億円だった。
次いで、奥羽本線の東能代―大館で、19年度は32.4億円、20年度は32.9億円。さらに、同線の大館―弘前で、19、20年度ともに24億円と続いた。
費用に対する収入の割合を示す収支率も公表した。収支率が最も悪かったのは、久留里線の久留里―上総亀山で0.6%。次いで、花輪線の荒屋新町―鹿角花輪(1.0%)、陸羽東線の鳴子温泉―最上(1.1%)と続いた。
人口減・コロナ禍でローカル線利用者が激減
近年、JR各社はローカル線の区間ごとの収支を公表する動きが相次いでいる。JR北海道が15年に公表したのを皮切りに、JR九州も20年に公表。今年に入ってからはJR西も利用者が少ない在来線17路線30区間の収支を区間別に初公表した。
背景にあるのは、人口減少や道路網の整備に伴うマイカーの普及などで、鉄道利用者が減少していることに加え、近年の新型コロナウイルス流行が拍車をかけ、事業継続が難しくなっている路線が増えているためだ。
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