広告会社の仕事がどんどん奪われている!? 電通とサイバーエージェントの収益構造から考える:ビジネスモデルの差は?(2/4 ページ)
コロナ禍で赤字に苦しむ広告会社とそうでない会社がある。筆者は収益構造や外部環境の変化に理由があると指摘する。広告会社は変われるか?
コンサルが広告業界の仕事を脅かす?
広告業界はその事業の特性上、分析やコンサルティング、ITシステムとも関連性が強く、参入を検討する機会も多く見受けられます。それらの業界を見てみると、コロナをもろともしない企業が何社もあることが見てとれます。
分析サービスを中心に展開するブレインパッドは、時価総額が16年から22年にかけて482%成長しています。SaaS企業のサイボウズも同様に411%成長を遂げています。
これは、一つの要素として、投資の観点が影響していることが見て取れます。
次のグラフは各社のキャッシュフローです。一概に各項目のプラスマイナスだけでよしあしを論じることはできませんが、営業利益率や時価総額成長率の高いサイボウズ、ブレインパッド、サイバーエージェントは投資に積極的であることがうかがえます。広告業界は人が商品といわれることも多く、投資といえば人材採用くらいだというのが定番でした。しかし、伸びている会社は事業開発に投資をしています。そして、広告スキルを持った人材ではなく、他の市場のスキルを持った人材採用にお金をかけています。
コンサルティング業界が「DXバブル」といわれているように、グローバルファームが軒並み従業員数を飛躍的(2倍以上になった企業も複数社)に増やしています。IT支援を中心に展開する内資コンサルティング会社のベイカレントは、17〜22年で時価総額が3850%、営業利益はコロナ中でも19年対比267%の215億円、営業利益率は37.3%という驚異的数値を達成しています。
そしてコンサルティング各社は次の図にあるようにさらにその領域を広げる動きをみせています。戦略系コンサルファームはBPR(業務改革)やDX領域へ、総合ファームはブランディングや広告領域を強化し、他のマーケットを獲得しに動いていることが見て取れます。
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