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「セサミプレイス」に33億円求め提訴 「黒人の少女拒否」で家族ら:問われる企業の人権意識
「セサミストリート」をテーマにした米国の遊園地で人種差別を受けたとして、米ボルチモアの家族が遊園地の運営元に対し、総額2500万ドル(約33.1億円)の損害賠償を求めてペンシルベニア州の連邦裁判所に提訴した。
人気子ども番組「セサミストリート」をテーマにした米国の遊園地で人種差別を受けたとして、米ボルチモアの家族が遊園地の運営元に対し、総額2500万ドル(約33.1億円)の損害賠償を求めてペンシルベニア州の連邦裁判所に提訴した。米ABCニュースなどが現地時間の7月28日に報じた。
この問題をめぐっては、同州の遊園地「セサミプレイス」で、パレード中に黒人の女の子2人が人気キャラクターに触れ合おうとしたところ、キャラクターが手と首を横に振り、拒否したように見える動画が7月16日にSNSに投稿され、遊園地への批判が高まっていた(関連記事)。
ABCニュースによると、提訴した男性は、拡散した動画を見て「自身の娘が受けた対応と同じだ」と思い、提訴に踏み切ったという。
男性は6月に同じ遊園地を訪れた際、パレードの最中に娘がキャラクターに無視されたと主張している。セサミプレイス側はABCニュースの取材に「法的プロセスを通じて対処する」と話している。
SNSでは、セサミプレイスで過去にも黒人の子どもたちが、同様の差別的な対応を受けたとする複数の動画が投稿されており、「炎上」状態となっている。
SNSへの投稿が元となり明らかになった今回の問題は、レピュテーション(評判)リスクにとどまらず、訴訟という法務上のリスクに発展しており、「ビジネスと人権」に関する企業の姿勢があらためて問われる事態となっている。
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