JT、ロシア事業の売却検討を継続 12月期は円安を受け上方修正:10月の増税はどうなる?
日本たばこ産業(JT)は7月29日、2022年12月期通期の連結業績予想(国際会計基準)について上方修正した。
日本たばこ産業(JT)は7月29日、2022年12月期通期の連結業績予想(国際会計基準)について上方修正した。円安の進行を受け、たばこ事業の売り上げ増加を見込んでいる。
売上高にあたる売上収益は当初見込みから1710億円増となる2兆4860億円(前年同期比6.9%増)、営業利益は同150億円増の5490億円(同10%増)、当期利益は同60億円増の3620億円(同6.9%増)とした。
4月に発表した、ロシア事業の売却検討については、「グループ経営からの分離を含めた選択肢の検討を継続する」との発言にとどめた。また、今年10月には加熱式たばこの増税が予定されているが、今後の価格改定については「競合他社の動向などを勘案し、時期を見定めて公開する」とした。
同日発表した2022年12月期第2四半期(22年1〜6月)の連結業績は、売上収益が前年同期比10.7%増の1兆2668億円、営業利益は同18.9%増の3830億円、純利益は同17.3%増の2641億円であった。全ての事業(たばこ、医薬、加工食品)での成長に加え、円安の進行により、増収増益となった。
たばこ事業は、全世界での販売数量が1〜6月実績で2628億本(前年同期比0.4%減)だった。このうち紙巻たばこ販売数量は2587億本(同0.6%減)、加熱式たばこなどのRRP製品の販売数量は同14.5%増となる40億本だった。
日本市場の実績は、紙巻の販売数量は273億本。RRPカテゴリーの増加に伴う総需要の減少やシェアの減少により、前年同期比11.5%減となった。対して、RRP製品の販売数量は同34.0%増となる29億本。RRP市場占有率の拡大やRRPカテゴリー内のシェアが対前年同期2.1%ポイント増となる12.0%に伸長したことが影響した。
高温加熱型カテゴリーにおける同社のシェアは4〜6月推計で7.6%(出荷ベース)。21年8月の「Ploom X」全国発売後、シェアは着実に推移しているといい、前年同期比3.6%ポイント増となった。同社は、日本での知見を生かし、下半期から海外市場での展開を開始するとしている。
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