シェアハウス不正融資で終わらない、スルガ銀行が抱えるもう1つの爆弾:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/7 ページ)
スルガ銀行は、かつてはその収益性の高さから「地銀の優等生」と評されていました。しかしご存知の通り、18年初頭に「かぼちゃの馬車問題」からはじまるシェアハウス向けの不正融資が発覚します。こちらの訴訟は収束が見えてきましたが、実はもう一つ、一棟不動産ローンが火種としてくすぶっています。
不正融資問題を受けて業績悪化続く
今回は地方銀行編の最終回として、そんなスルガ銀行がどのような状況になっているのか見ていきましょう。
まずはここ数年の業績から見ていきます。
経常収益を見ていくと、不正融資問題が発覚した18年3月期をピークに下落傾向が続いています。
利益面を見ると、不正融資問題が発覚して問題となり始めた18年3月期には大きな減益となり、その損失の計上が本格化した19年3月期には非常に大きな赤字となっています。
その後は黒字転換したものの、業績は下落を続けています。売上・利益ともに不正融資問題の悪影響を受け、業績悪化が続いていたことが分かります。
それでは続いて直近の業績を見ていきましょう。
今回見ていくのは2022年3月期の業績です。
- 経常収益(売上高)は、7.7%減の920.7億円
- 経常利益は、54.1%減の105.9億円
- 純利益は、62.8%減の79.6億
で大幅な減収減益となっており、業績の悪化は止まっていません。
銀行は預金を預かって(1)貸出す(2)有価証券などで運用するというのがメインの収益源です。そのために銀行にとって重要な、預金残高の推移をみてみると、減少傾向が続いています。
問題発覚前の17年3月期には4兆1054億円あった預金残高は、22年3月期には3兆3121億円まで減少してしまいました。個人預金・法人預金・公金とすべてが減少しています。
個人でメインで使っている口座の場合は、例えば給与の振込口座や何らかの料金の引き落とし口座などに設定されていると切り替えの手間は大きいですし、法人でも振込先の変更など周知する必要があり、口座の切り替えには手間がかかります。
そういった中でも減少傾向が続いているわけですから、信用を失った影響は大きかったということでしょう。
また、コロナ直前の20年3月期の預金は3兆2108億円でしたから、22年3月期は3兆3121億円とコロナ禍で増加に転じていることが分かります。これまで見てきた他行と同様で、給付金、消費低迷などの影響の中で日本全体の預金残高自体が増加する中で好影響は受けていたようです。
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