2015年7月27日以前の記事
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大阪王将「ナメクジ告発」から考える “炎上”を招きやすい企業の特徴とは?デジタル・クライシスの専門家に聞く(2/3 ページ)

大阪王将のSNS炎上問題。自社のネガティブな情報が拡散すると、多数の批判が寄せられ、ブランドも大きなダメージを受ける。炎上を起こさないために、企業はどんな対策を取るべきなのか。この問題に詳しい専門家に話を聞いた。

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――「小さな声」を放置せず一つひとつ拾い上げることが重要なのですね

研究員: 「小さな声」は従業員の訴えだけではない。かつて、東京・渋谷のコンビニエンスストアで、ネズミが店内を走り回っている動画がSNSで拡散し炎上したことがある。実際には、炎上する1年以上前から、「ネズミがいる」との情報が、Googleマップの口コミ欄に投稿されていた。こうした利用者の投稿を企業が把握し、対処していれば炎上には至らなかった。ネット上の公開情報など、少なくとも目に見えるリスクは検知できる体制を構築しておくことが炎上を防ぐために重要だ。

――大阪王将の炎上後の対応についてはどう見ますか

研究員: 炎上後の対応自体は比較的早く、保健所の立ち入り検査の結果報告や清掃作業も終えており、事態は収束傾向にあると見ている。一方で、告発した男性は店舗をフランチャイズ経営するファイブエム商事の経営上の問題についても告発している。今後、ファイブエム商事側がどう対応・釈明するかは見ていかないといけない。 


炎上の芽をいかに拾い上げるかが防止の鍵となる(画像はイメージ、ゲッティイメージズ)

過去の事象も掘り起こされる「炎上の連続性」

 今回の大阪王将の炎上では、男性の告発を発端として、「テークアウトした餃子が黒焦げになっていた」「通販で取り寄せた商品の包装に虫が入っていた」――など、大阪王将に関して別のユーザーからも苦情が複数寄せられた。

 先月、米国の遊園地「セサミプレイス」で黒人の子どもが人気キャラクターにハグを求め拒否された動画がSNSで拡散し、炎上に発展した。この際も、「同様の被害を受けた」とする複数の投稿が別のユーザーからも寄せられ、当初の炎上に拍車をかける形となった。

――炎上が別の炎上を呼ぶ動きが見られます

研究員: これは炎上の性質であり、われわれは「炎上の連続性」と呼んでいる。一種の「#MeToo(ミートゥー:「私も」の意)」の動きと同じで、誰かが声を上げてくれたことで、「私も」と声を上げやすくなる。炎上は「縦」と「横」に広がる特徴がある。縦は、同じ大阪王将の別店舗でも同様の問題がある、といった投稿が続く動き。横は、同じ食品業界の別企業でも同様の問題がある、といった声が挙がる動きだ。こうした炎上の波及を防ぐためには、世の中で発生する炎上事例を吸収し、自社に波及すればどういった観点が考えられるのか、というケーススタディをどれだけ踏めるかが重要になる。

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