大阪王将「ナメクジ告発」から考える “炎上”を招きやすい企業の特徴とは?:デジタル・クライシスの専門家に聞く(3/3 ページ)
大阪王将のSNS炎上問題。自社のネガティブな情報が拡散すると、多数の批判が寄せられ、ブランドも大きなダメージを受ける。炎上を起こさないために、企業はどんな対策を取るべきなのか。この問題に詳しい専門家に話を聞いた。
炎上のトレンドを把握することが重要
ネットの炎上は、時期によってトレンドがあると研究員は指摘する。
18〜19年にかけて増えたのは「バイトテロ」だった。飲食店などのアルバイト従業員が悪ふざけを行い、SNSに投稿し炎上、店舗に被害を負わせるというものだった。InstagramやTikTokなど、動画に特化したSNSの発達で、炎上する投稿が「写真」から「動画」に移り変わったのもこの頃だという。
19年後半には、「ステマ(ステルスマーケティングの略)問題」が発生。インフルエンサーなどを起用し、消費者に対して広告であることを隠しながら商品を宣伝する行為が「やらせ」として炎上した。
21年以降は、ジェンダー問題が大きく注目を集めている。21年2月、政治家の森喜朗氏がJOCの臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと発言した問題が発端となった。
直近では生活雑貨の東急ハンズが、Twitterに「ゴリラゲイ雨」など書いた投稿をし、性的少数者への配慮を欠いた投稿だとして批判が殺到した。この用語はネットスラングとして過去にネット上で見られたもので、同社は「認識が不足していた」として謝罪した。
研究員は、「過去に大丈夫だったから今も問題ないという意識でいると、炎上リスクになりかねない。企業は常に、炎上トレンドを把握してプロモーション活動や広報活動をする必要がある」と強調した。
多くの人がSNSで自身の意見を発信する時代。企業は、今回の大阪王将の炎上を契機とし、自社が炎上に巻き込まれるとすればどのような事例が考えられるか、改めて整理する必要がありそうだ。
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