HYDEが“兄貴”と慕う「画狂人 井上文太」が画集を出版 「承認欲求を捨てないとアーティストは成功しない」:先行販売で異例の売り上げ(2/5 ページ)
HYDEさんが企画とプロデュースを務めた画集『閃き 〜 INSPIRATIONS 〜 画狂人 井上文太』が、先行販売ながら異例の売れ行きを見せている。その裏には30年以上前の著者の井上文太さん、HYDEさん、そして2人が「先生」と呼ぶ金子國義画伯の不思議な出会いと、それぞれの軌跡があった。
井上さんとHYDEさんの「先生」 金子國義
井上さんに、画集を世に出すことへの心境を聞いてみた。
「HYDEとの付き合いは30年以上になりますが、この画集を一緒に作れたことが何よりもうれしいです。僕も同じアーティストとして自分の道を信じて活動してきました。2人のインスピレーションが今、ちょうど心に合致したんだと思います。音楽と芸術、違う分野で活動してきた僕たちが、一緒に何かを創(つく)りあげられるなんて夢がありませんか? しかも、その2人を選んでくれたのが(画家の)金子國義先生だったんです」
井上さん、HYDEさんがともに「先生」と呼ぶのが、金子國義画伯だ。HYDEさんが金子画伯を敬愛していたことは以前の記事(「HYDEが心酔した画家・金子國義 美術を守り続ける息子の苦悩と誇り」)でレポートした。美術作品を後世に残していくには作品の保存や販売の体制など、ビジネス的な課題が多くある。
井上さんは金子画伯に師事し、1999年に画家としての活動を始めた。画集にも金子画伯との関係を思い起こさせる写真がいくつか掲載されている。
「それこそ30年以上前に、僕の後輩がHYDEを連れてきたんです。そのあと僕は金子先生の弟子になりました。卒業してから六本木で開催した展覧会に、何とHYDEが来てくれました。金子先生はロックなんか聞かないのに、HYDEのセンスや人柄に光を見つけ、HYDEも金子先生の世界観を心からリスペクトしていました。
何か目には見えない不思議な縁だなって思いながら、その後はそれぞれの道を歩いてきました。この2人で創りあげた画集の発売が音楽やアート、日本の美といった何か新しいものが生まれるきっかけになればと思っています」
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