HYDEが“兄貴”と慕う「画狂人 井上文太」が画集を出版 「承認欲求を捨てないとアーティストは成功しない」:先行販売で異例の売り上げ(3/5 ページ)
HYDEさんが企画とプロデュースを務めた画集『閃き 〜 INSPIRATIONS 〜 画狂人 井上文太』が、先行販売ながら異例の売れ行きを見せている。その裏には30年以上前の著者の井上文太さん、HYDEさん、そして2人が「先生」と呼ぶ金子國義画伯の不思議な出会いと、それぞれの軌跡があった。
縮小する美術市場 世界に発信する上での課題
井上さんは先述の代表作「Light Wave」などによって世界の市場に認められてきた。今後も、国内だけでなく、世界に向けて自らの芸術を意欲的に発信していきたいという。
世界で日本のアートが持つプレゼンスはどの程度なのか。「日本のアート産業に関する市場調査2021(主催:アート東京、制作:エートーキョー)」を見ると、日本全体の美術品市場の規模は2186億円と推計されている。前年から7%減少していて、縮小している状況だ。世界の美術品市場における日本の割合を見ても、世界の市場規模が5.2兆円に対し、日本は1929億円で、わずか3.7%にすぎない
日本が世界のアート産業で上を目指すには、いったい何が必要なのか。井上さんに聞いてみた。
「芸術の目的は、その国の文化と個性を出すことなんです。僕は国に個性がないと、海外から見たときに、魅力的な国にはならないと思います。ですから、個性を大切にできる審美眼を持った政府の人や有識者、パトロンがいないといけない。
このままでは、才能ある日本のアーティストが、海外に持っていかれるか、出ていってしまうと思いますよ。そうなると何とか売れるために有力者やスポンサーの言いなりになるしかないアーティストだけになってしまう。僕が、絵をうまくなりたい理由は人と出会い、いろんな世界を見たいからなんです。筆一本で、世界の人たちと交流を深めていきたいですし、海外の文化をもっと勉強して、日本人の解釈によって世界の文化を伝え続けていきたい」
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