「Dr.マシリト」こと鳥嶋和彦が特別審査員 漫画賞を開催する狙いは?
マンガアプリ「comico」を提供するNHN comico(東京都港区)は、「comicoタテカラー®漫画賞」を開催した。
マンガアプリ「comico」を提供するNHN comico(東京都港区)は、「comicoタテカラー®漫画賞」を開催した。応募は10月10日まで受け付ける。応募者の年齢やプロ・アマの経験は問わず、間口を広げた漫画賞を開催することによって、人材を発掘する狙い。
comicoは、スマホで読むのに適した縦スクロール形式が特徴のマンガアプリだ。ダウンロード数は、国内で2200万、世界では3900万を突破している。
作家と二人三脚で作品を作り「作家第一主義」を掲げてきたcomico編集部が開催する同漫画賞では、『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』や『Dr.スランプ』の著者である鳥山明さんなど多くの漫画家を育てた『週刊少年ジャンプ』の元編集長、鳥嶋和彦さんが特別審査員を務める。鳥嶋さんは「Dr.マシリト」というキャラクターで『Dr.スランプ』にも登場した日本を代表する漫画編集者だ(連載「マシリトが行く!」参照)。
「グランプリ」には賞金100万円、「準グランプリ」には50万円、「鳥嶋賞」には20万円、「期待賞」には5万円を贈呈する。また、「グランプリ」「準グランプリ」「鳥嶋賞」の受賞者には担当編集を付けるほか、鳥嶋さん自らオンライン講評をするという。
鳥嶋さんは、以下のようにコメントしている。
「応募作は、プロへの名刺です。二つのことを考えること。一つは読者を想定することです。必ず誰かに読んでもらう。それがダメなら、仮の読者を想定する。
もう一つは、縦スクロールを研究することです。一番面白いと思った作品を書き写して、簡単でいいので、描き方を分析すること。誰もが、分かりやすく読めるのが漫画であり、それを可能にするのが技術です」
現在、日本のタテカラー®漫画(WEBTOON)の多くはスタジオで制作されていて、作家個人の大ヒット作品はまだまだ少ないのが実情だ。
NHN comicoは、この市場を成熟させるために、作家個人で作成したものがヒットするような体制を整え、次世代を担う作家発掘とサポートに注力していく。
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