無印、ユニクロ模倣の中国「メイソウ」、迷走の末「脱日本宣言」:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/5 ページ)
中国雑貨チェーンの名創優品の「日本に媚びた」マーケティングがSNSで大炎上し、謝罪した。ユニクロと無印良品、ダイソーを良いとこ取りした店舗で、創業10年足らずで世界に5000店舗を出店するも、中国国内の「愛国」「反日」ムードで爆発。ここからは「第二創業」に匹敵する取り組みとなりそうだ。
4年ぶりの黒字転換も正念場続く
日本企業を装って急成長し、中国で超有名チェーンになったメイソウは、「日本のパクリ」というイメージを払拭するため、実は19年ごろから日本色を薄めている。それでも「日本偽装戦略」は黒歴史としてついて回り、20年10月に米国で上場を果たして以降も、オリジナリティの欠如や倫理観の低さとともに、「成長の足かせ」として指摘され続けている。
コロナ禍での強気の出店も裏目に出ており、同社の売上高は18年に170億元(約3400億円)あったのが翌年以降は93億5300万元(約1871億円)、89億7900万元(約1796億円)、90億7200万元(約1814億円)で推移し、純損益も3期連続で赤字を計上。19年以降の3年の累計赤字額は20億元(約400億円)に迫る水準となっている。
メイソウは今年7月に香港でも上場したが、その大きな理由は米市場での株価低迷と上場廃止リスクを背景とした「リスク分散」といわれている。
「脱日本宣言」から1週間経ったメイソウは8月25日、22年通期の決算を発表した。売上高は100億9000万元(約2018億円)で、内訳は国内74.4億元(約1488億円)、海外26.5億元(約530億円)。純利益は7億2000万元(約144億円)で4年ぶりに黒字転換した。国内での出店余地が少ないことから、今後は北米、南米、東南アジア、欧州での出店を加速していくという。
葉CEOは直近の炎上について多くは語らなかったが、「日本に媚びている」と批判を受けたことを念頭に、代理店のマネジメントを強化し、「中国文化」を海外に輸出していくとの方針を示した。
ただ、今回の炎上を見ても、メイソウのことを日本ブランドだと誤解しているのは主に海外市場であり、中国では同社の“出自”は既知の事実だ。「脱日本」と「海外展開」が両立し得るのか。メイソウにとっては「第二創業」に匹敵する取り組みになりそうだ。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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