EXILE HIROが後押し プロダンスリーグ「D.LEAGUE」トップが描く展望と戦略:フルキャストHD創業者(2/5 ページ)
2021年1月に日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」が誕生した。若者の取り込みに成功し、かつ女性の取り込みにも成功したDリーグの戦略は、若者との接点に悩む企業にも参考になるはずだ。いかにしてダンスという新しいムーブメントを作ろうとしているのかを追った。
2012年にダンスが必修化
――Dリーグを設立した背景は?
実は、私は10年ほどダンスをやっています。いま60歳なので、50歳になったときに始めました。娘が中学に入るときに、何か一緒にできることはないかと考えたのです。それまではディスコ、今でいうクラブで踊っていた程度でした。しかし、実際に体感したダンスは想像と全く異なりました。ダンス業界そのものの見方が変わったのです。
12年に学校でダンスが必修化されました。それ以前、40代以上の世代は、ダンスへのイメージはどちらかというと、ダーティだったり、遊び人だったりチャラチャラしている印象であまりよくなかったと思います。
しかし実際に自分で踊ってみると、ダンスはスポーツと同じく過酷で、集中力、チームワークが求められることを実感しました。やってみるまでは、ダンスというものを軽く見ていたんですね。それだけに、ダンスはこんなに大変で、面白いんだと気づきました。
一方、プロとしてダンスに取り組んでいるのは、バックダンサー、レッスンをして教える人くらいしかいませんでした。「なぜスポーツと捉える場がないんだろう」と率直に思いました。
ダンスは競技でもあり、ジャンル別に世界選手権が開催されていることを知りました。それならダンスをプロ化してリーグを作り、競技として競い合う場を作りたいと考えたのです。
――構想期間は?
5年ほど前(2017年)からですね。その間に新型コロナの影響によって、開催がずれ込んだりもしました。トップには私が就任しました。
ダンスを主体としたエンターテインメント事業で成功を収めたのはLDH JAPAN(東京都目黒区)のEXILE HIROさんだと思いましたので、チーフクリエイティブアドバイザーへの就任をお願いしました。事業の構築や営業は電通にお願いし、ダンス業界でのビジネスを手掛けDリーグの株主でもあるアノマリー(東京都渋谷区)と共に、キックオフミーティングをしました。
――Dリーグは競技なのでしょうか。それともエンタメなのでしょうか?
両面あると思っています。さらにカルチャーの部分もあると考えています。ダンスというのは本能的に原始時代からどの民族もやっていたと思いますし、自己表現であり、伝達方法でもありますから。
ダンス競技は1対1で対決し、個人のスキルなどを中心にみせる「バトル」と、Dリーグのような団体戦「ショーコンテスト」の2種類があります。Dリーグに関してはスポーツの面を強めに出しています。点数をつけ、順位をつけ、賞金を出す形にしました。採点競技なので、ジャッジについては相当、議論をしました。
ダンス業界の人たちは特殊性があって、ダンスをする人たちの価値観だけで進んでいくことがあったのですが、Dリーグでは受け手側から見ても通じるようなコンテンツ作りをしたいと思いました。バトル以外で競技として成立させたのはDリーグが初めてだと思います。
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