EXILE HIROが後押し プロダンスリーグ「D.LEAGUE」トップが描く展望と戦略:フルキャストHD創業者(5/5 ページ)
2021年1月に日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」が誕生した。若者の取り込みに成功し、かつ女性の取り込みにも成功したDリーグの戦略は、若者との接点に悩む企業にも参考になるはずだ。いかにしてダンスという新しいムーブメントを作ろうとしているのかを追った。
力をつけるまでは地上波もPPVも全方位
――会場にいくと、本当に若い観客が多かったですね。
会場に行くと分かりますが圧倒的に子どもや若年層が多いのです。野球やサッカー以外では、スポーツであれだけ子どもを集められるコンテンツはないと思うのです。これまでは地上波が主体だったスポーツが多い一方、われわれはターゲットが若いのでTikTok、YouTubeに力を入れています。
――実際、どういった世代がメインなのですか?
10代から30代半ばまでが圧倒的に多いです。ただ思ったよりも40〜50代も多いです。自分の子どもがダンスをやっているケースがあるので、子ども世代を開拓する必要もあるでしょう。
もう1つ、データをとって面白かったのは、ダンスをしている人が多く観ると思っていたのですが、やっていない人が半数近くも、会員になっていたり、配信を観ていたりするのです。これはわれわれにはありがたい数字です。
――最近、格闘技ではPPV(ペイパービュー。有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム)など地上波以外の放送が注目されています。Dリーグは配信が中心ですね。
最初は、配信をメインに考えていました。また、携帯電話で5Gが導入されるタイミングでしたので、どこのキャリアと組むのかを考えました。その中でソフトバンクさんが一番理解を示してくれました。
5Gのメインコンテンツで音楽やスポーツの映像視聴が体験できるFR SQUAREや、好きなタレントやキャラクターと一緒に撮影できるAR SQUAREを使ってくれました。前者はリアルで多視点のカメラで楽しめますし、後者はVRによって最前列で見られるようなサービスも展開できました。
――その一方で地上波というのはマスに訴える力もあります。その辺のバランスはどう捉えていますか?
われわれは力をつけるまでは地上波もPPVも全方向で行くべきだと思っています。例えばボクシングの井上尚弥さんであれば、世界レベルで有名なのでAmazonプライム・ビデオでも十分採算が取れます。
一方、Dリーグはまだそこまでの力はありません。裾野を広げていって、一般の方がDリーグと聞いたときに、少なくとも半分の方が知っているぐらいまで知名度を上げないといけないと思っています。だから地上波、PPVどちらかだけというのは時期尚早だと思っています。
若者に強みがあるのは協賛企業を獲得するには有利に働きます。一方、他の世代にリーチしなくていいのかといえばそれは違います。ダンスをやっていなくても楽しめるコンテンツなので、もう少し上の世代にリーチしていかないと、裾野は広がらないと考えています。
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