プロダンスリーグ「D.LEAGUE」を生み出したフルキャスト創業者 忘れられない“3つの決断”:会社を大きくするということ(1/6 ページ)
2021年1月に日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」が誕生した。若者の取り込みに成功し、かつ女性の取り込みにも成功したDリーグの戦略は、若者との接点に悩む企業にも参考になるはずだ。
東京五輪でスケートボードが新しい競技として人気を集めたことは記憶に新しい。人気の秘密はスケボーが持つ独特の文化にあり、その文化が若者を引きつけるからだ。
2024年のパリ五輪では、新競技としてダンスの「ブレイキン」が正式種目になることが決まった。ダンスは日本だけでなく世界でも注目を浴びている。
日本では21年1月に日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」が誕生し、筆者はその第2シーズンを取材した。10〜20代を中心とした若い人たちが会場を熱くしていたのが印象的だ。
Dリーグが発表した資料によると、日本のダンスの潜在市場規模は600億円に達する。競技人口は600万人と、サッカーの700万人に次ぐ数字で、野球と同じだ。25年には1100万人に達すると予想している。これは12年に学校の授業でダンスが必修化された影響も大きく、小中高合わせた市場規模は約2000万人に上るという。
その結果、Dリーグが開発したアプリをみると、年代別のファン層は10代が24.9%、20代が30.7%だった。性別では女性が65.3%、男性が33.6%だ。
Jリーグが発表した「Jリーグ スタジアム観戦者調査2019サマリーレポート」によると、男女比は6対4と男性が多い。年齢では11年は18歳以下が7%、19〜22歳が5.7%、23〜29歳が13.1%、30〜39歳が27.5%、40〜49歳が26.7%だった。一方、19年はそれぞれ5.8%(18歳以下)、5.5%(19〜22歳)、10.8%(23〜29歳)、16.8%(30〜39歳)、26.9%(40〜49歳)と、高齢化が進んでいる。
こう考えるとDリーグは、若者の取り込みに成功し、かつ女性の取り込みにも成功しているのだ。Dリーグの戦略は若者との接点に悩む企業にも参考になるだろう。タイトルスポンサーに第一生命がついたのは、その証左だ。
テレビ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の企画・総合演出を手掛け、『ダンス甲子園』の生みの親でもあるテリー伊藤氏は、Dリーグ21-22シーズンでレギュラー・エンターテイナー・ジャッジを務めている。同氏は魅力をこう語る。
テリー伊藤「ダンスはお金がかからない」
「ダンスってお金がかからないんです。スノーボードはお金がかかります。サッカーもボール1つなのでお金がかからないと思っていましたが、サッカー場が必要ですね。野球が、いま以上に広がりにくい背景には、そういう事情があります。逆にダンスは、今日観(み)たらすぐ、自分なりに始められるのです。自己表現もできますし、これはすごいことです。
ネット社会となり、自分のダンスの技術を上げれば、YouTubeの再生回数が100万、200万になる可能性もあります。ダンスに言葉は必要ありません。国境を超え、世界中から評価されます」
記事の前編【EXLIE HIROが後押し プロダンスリーグ「D.LEAGUE」トップが描く展望と戦略】では運営サイドが、いかにしてダンスという新しいムーブメントを作ろうとしているのかを聞いた。後編では、総合人材派遣サービス会社フルキャストホールディングスの創業者で、Dリーグの平野岳史CEOに経営の在り方について深彫りする。
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