「あなたは保険に入る必要はありません」のマネフォの保険はどう進化してきたのか?:金融ディスラプション(4/4 ページ)
マネーフォワードがネット専業保険会社のライネット生命と組んで、2021年7月にスタートした「マネーフォワードの生命保険」。診断を受けると「あなたは保険に入る必要はありません」と表示されるユーザーが続出。約8割のユーザーがそう診断されたという。そこから1年と少々経ち、さまざまな機能が追加されてきた。
「サクッと診断」と「じっくり診断」
こうした背景も踏まえ、9月13日のアップデートでは、加入している死亡保険に関する診断を「サクッと診断」と「じっくり診断」の2つにリニューアルした。
サクッと診断では、現状と保障額を変えずにマネーフォワードの生命保険に変えると、どれだけ保険料が下がるのかを、シンプルな入力で診断する。じっくり診断では、従来どおり、家族構成や年収など詳細な情報を入力し、必要保障額自体の算出から、保険の提案まで行う。いずれもマネーフォワード MEの情報を使って入力を簡単に行うことが可能だ。
ユーザーインタビューなどから、「今のまま保険料が下がるのかどうかをすぐ確認したい」というニーズと、「今の保障額が適切か確認したい」という2つのニーズがあることが判明。それぞれのニーズに応えるのが狙いだ。
従来のサービスでは、必要保障額について、どう考えたらよいかといった知識コンテンツ的な側面も強く、開発陣としては、読んで終わりではなく実際のアクションにつなげてほしいという思いもあった。そのため、診断結果をもとにライフネット生命の保険プランナーへの無料オンライン相談への予約機能も用意した。
日本は保険大国であり、国民の約9割が保険に加入しているが、マネーフォワードで診断を受けたユーザーに限れば、8割は保険は不要と出ていた。どのあたりが適切な比率なのか、また自分が入るべきかどうかは、個々人の考え方によるもので一律の正解はない。それでも、全体として見れば、保険に必要以上に加入している人が多く、それが固定費として家計の負担となっている。
マネーフォワードの生命保険は、保険料を支払いすぎるとその分資産形成が遅れるという、トレードオフの関係を提示した意義は大きい。しかし、サービス開始から約1年で、マネーフォワード MEユーザー1330万人のうち、診断の利用者は5万人程度とまだまだ少ない。
サクッと診断は、同じ条件でより安い保険商品を紹介するという、よくある機能ではあるが、本丸であるじっくり診断につなげていく入り口の役割を果たすだろう。
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