三菱地所で起業した3人の社長 今だから話せる「本当に苦労したこと」:0→1から収益化(5/5 ページ)
三菱地所が毎年、社内で実施している「新事業提案制度」。毎年30前後の新規事業提案の中から、実際に事業化に結び付くのは2、3件程度。そんな狭き門を潜り抜けた3人は、いかにして新規事業を実現させたのか――。
人をつなげるコミュニティスペースや壁打ちの価値
高野 新規事業を立ち上げる上で、SAAIのような場所はどのように役立ちましたか?
米田 僕はフルに活用しています。SAAIのマネジャーには膝栗毛も手伝ってもらっていますし、ロゴやプロモーション映像などの制作チームは、SAAIの企画・立ち上げの段階で出会った人たちでできています。高野さんにもヒアリングさせてもらいましたよね。SAAIにはつないでくれる人がたくさんいて、誰かに相談すれば、誰かにつながるので、こういうコミュニティがあるのはすごく大きいと思います。
高野 会場の方からの質問ですが、ゼロイチフェーズである新規事業に応募をする際に、会社からはどのようなサポートがあったんでしょうか?
本田 新事業提案制度は6月頃に一次書類審査があって、夏に二次プレゼン審査、12月に最終プレゼン審査があるわけですが、二次審査を通過すると予算とサポートがつき、具体的な事業化検証をしていきます。サポートについては、外部のメンタリングサービスが利用でき、「壁打ち」で考えを整理したり、SAAIの会員権を貸与してもらい、ここにもちょこちょこ来ました。
米田 その他にも、応募前や二次審査前などフェーズごとに、ビジネスモデルのつくり方や、エントリーシートの書き方、ピッチスタイルのプレゼンのやり方などの講座を事務局が開いてくれました。
(写真左)高野悠(たかの・ゆう) 全日本空輸株式会社 CX推進室 業務推進部 価値創造チー。2011年、全日本空輸株式会社(ANA)に総合職技術職として入社。整備に関わる受託や委託、プロジェクトマネジメントおよびアバタープロジェクトに従事後、新規事業開発に携わる。大企業の若手中堅有志団体の実践コミュニティ「ONE JAPAN」による大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE by ONE JAPAN2020」ファイナリスト、01Booster主催 「01Start」第1期 社内起業家部門採択、SAMURAI incubate主催「SAMURAI SHOUT2021」グランプリ、経済産業省/JETRO主催「始動Next innovator2021」シリコンバレー選抜
価値提供のために働けることが幸せ
高野 最後に、新規事業を志している方々へメッセージをお願いします。
本田 新規事業に挑戦しようとすると、批判する人もたくさんいると思いますが、やれるチャンスがあればやった方がいいと思いますし、やる人を応援する風土がある会社にいる人はラッキーだと思います。
中村 新規事業に興味がある方は、絶対トライした方がいいと思います。自分としても挑戦して良かったと思いますし、今ものすごく楽しく仕事ができているのでやってみて良かったなと。最近は社内起業が増えてきて、そういう人たちのコミュニティもあるので、一緒に課題解決のノウハウを共有できる仲間が増えるといいなと思っています。
米田 社会とつながりながら、価値を提供するために自分は働いているんだなってことを毎日実感できるって本当に幸せなことだと思います。自分の大事にしていることを見直してみると、アイデアが見つかるんじゃないかなと思うので、ぜひ見つけていただいて、周りの人に相談するところから始めていただければと思います。
高野 これから新規事業を推進する人にとっても、それをサポートする人にとっても、すごく学びのある場になったと思います。ありがとうございました。
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