ペイトナー、一人社長向けに基本無料の"請求書受領”サービス GMOあおぞら銀連携で振込機能も内包:金融ディスラプション(2/2 ページ)
2023年10月のインボイス制度スタートに向けて、請求書の受領サービスへの参入が相次いでいる。9月20日に「ペイトナー請求書」をスタートしたペイトナーもその一つだ。
大企業で一般的なFBではなく、更新系APIを使い振り込み機能を内包
ペイトナー請求書では、GMOあおぞらネット銀行が提供する更新系APIを使い、請求書上の振込先に、同じ画面で振込操作を可能とした。同行と共同で「為替資金預り口座」という専用口座を開発、顧客はこの口座を開設することで、ペイトナー請求書の画面から振り込みが可能になる。データ管理画面から振り込みまでシームレスにつながることが、他社サービスにはない特徴だ。
中堅企業以上では、インターネットバンキングを用いる際も、振込情報をまとめたCSVファイルをアップロードして一括振込を行うFB(ファームバンキング)を使うことが多い。競合の請求書受領サービスではFBデータを生成することで、振り込み作業を支援している。
しかし「FBを使った方法はタイムリーさに欠け、自動化にも影響する。それに依存してペイトナー側のサービス自由度も下がる。さらにAPIのほうがセキュリティも高い」とGMOあおぞらネット銀行の宇津井悠史氏は言う。
ビジネスモデルも更新系APIありき
ペイトナー請求書の事業モデルは、ソフトウェアの基本部分は無料で提供し、振込手数料の300円をGMOあおぞらネット銀とシェアするものだ。銀行APIを活用することで、違和感のない収益ポイントを作り出すことで、導入のハードルを下げた。「決済機能というキャッシュポイントを作ることで、フリーミアム提供が可能になった」と野呂氏。
現時点ではインボイス制度やPeppolには対応していない。「対象顧客からすると、急いで対応する必要もない」(野呂氏)という考えからだ。また、GMOあおぞら銀行のAPIに技術的にもビジネス的にも依存しており、そのほかの銀行への対応も考えていない。会計ソフトとは、現状CSVによる連携となっているが、freeeとのAPI連携は開発中だ。またマネーフォワード、弥生クラウドには対応していきたいとした。
事業規模が変われば顧客ニーズも変わる。個人事業主や小規模事業者にフォーカスすることで、請求書受領サービスの新たな市場開拓を狙う。今後は、資金管理機能も追加し、「一人社長がキャッシュコントロールを行えるプラットフォームを目指す」(野呂氏)とした。
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