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経団連モビリティ委員会発足の裏読み:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)の委員会に、新たに「モビリティ委員会」が発足した。その背景とは?
一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)の委員会に、新たに「モビリティ委員会」が発足し、9月22日にその第1回会合が開催された。
お堅いニュースでなかなか興味が湧かないかもしれないが、これは日本の自動車産業にとって極めて重要な一手となり得る話なので押さえておきたい。
従来から自動車産業の業界団体としては、日本自動車工業会を中心とする自動車5団体が存在した。日本自動車工業会(自工会)、日本自動車部品工業会(部工会)、日本自動車車体工業会(車工会)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車販売協会連合会(自販連)である。
自動車産業は確かに日本で最も規模の大きい産業ではあるが、いかにせよ自動車5団体は業界団体に過ぎない。政官財のトライアングルを形成する「政治」に対応する「財界」としての枠組みで、相対することがなかなか難しかった。
そこで、まさに財界団体である経団連の中にモビリティ委員会を発足させることで、政治と経済が二人三脚で世界と戦える枠組みを作ろうとするのが今回の試みである。
そもそも日本の最大産業である自動車関係の委員会がこれまで経団連の中になかったことが不思議といえば不思議だが、なければ作ればいいだけのことである。
といいつつも、筆者の理解している範囲で、背景をざっと説明しておく、ただしこれはあくまでも私見であり、公式な見解が存在するものではないことをあらかじめお断りしておく。
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