スノーピークは「法的措置」を準備してはいけない、これだけの理由:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
アウトドアブランドの「スノーピーク」が、怒りのリリースを発表した。同社の山井梨沙社長が「不倫辞任」したことに対して、全く関係のないデマが増えているので、やった人間を訴えると警告しているのだ。しかし、スノーピーク社のスタンスにもやもやしている人も多いのではないだろうか。なぜかというと……。
高いでしょ? お金持っているんですね
このような顧客の「囲い込み」は、さまざまな業界・業種で当たり前になっているのに、なぜスノーピークを批判的に見る人がいるのかというと、やはり「高価格帯」だからだ。アウトドアの世界では「道具は高ければいいというものではない」「安くて質のいいギアを見つけるのもキャンプの楽しみ」という哲学をもつ人々がたくさんいるので、スノーピークの価格設定が許せないのだ。
「なんのこっちゃ」という人もいるので、筆者の実際の体験談を例に説明しよう。筆者は今から10年以上前にキャンプを始めて、その際になんだかよく分からないまま、テント、タープ、テーブル、椅子、焚き火台、調理機器などの一式をスノーピークでそろえた。総額で30万円以上になって、「最近のキャンプってずいぶんお金がかかるんだな」と思ったものだ。
だが、それからキャンプの回数を重ねて現在はソロキャンを月に2〜3回するくらいになって、いろいろなキャンプ愛好家と情報交換をしたり、キャンプ場などで出会った上級者やアウトドアフィールドで働いているプロの皆さんと話をしたりすると、スノーピーク製品を多く持っている筆者に対して、ベテランキャンパーたちが微妙な反応をすることに気付く。
最も多いのは「高いでしょ? お金持っているんですね」という反応だ。キャンプの世界では、同じキャンプ用品を十年以上使うのが当たり前であったり、ホームセンターなどで部品を購入して自作したり、ノーブランドでも使い勝手のいいものを愛用したりしている人も多い。筆者のようにスノーピーク製品に囲まれたキャンパーを見ると、「カネにものを言わせた素人」のような感じで、マウントを取られることが多々あるのだ。
そしてもうひとつ多いのが、「ああ、スノーピークのファンなんですね」という感じで、やんわりと小バカにされたような言われ方だ。
実際、筆者は新潟のキャンプフィールドにも行ったことがあるのでそのような話をしたり、アパレルもスノーピークのものをいくつか持っているので、それを身につけていたりすると、こちらが質問もしていないのに、「僕のキャンプはそういうお金をかけるのと違って、楽しめればいいって感じですから」なんてことを語られてしまう。
要するに、私はあなたのように高額なスノーピークのギアやグッズを買いそろえる「信者」じゃなくて、キャンプを純粋に楽しんでいる人間ですよ、と妙な線引きをされてしまうのだ。
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