“断面萌え”で人気の「フルーツ大福」「フルーツサンド」 心配なのは、過当競争の行方:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
果物の摂取量が減少している一方、「フルーツ大福」「フルーツサンド」がブームになっている。筆者は過当競争に陥っているのではないかと指摘する。生き残るには差別化戦略が必要だ。
果物の摂取量が減少する一方で、果物を「フルーツ大福」や「フルーツサンド」に加工して、その魅力を発信する動きが広がっている。いずれも旬の果物を丸ごと使うなど、ジューシー感が存分に味わえる商品になっている。
また、果物の切った断面をSNSに投稿する“断面萌え”がこれらの商品の人気を支えている面がある。なぜ、果物は売れないのに、フルーツ大福やフルーツサンドは売れるのか。取材した。
若者が食べていない
厚生労働省が発表した、「令和元年国民健康・栄養調査」によれば、2019年の日本国民1人1日当たりの果物(果実類)の摂取量は、96.4グラム。最も多かった1975年の193.5グラムから半減している。
2005年に農林水産省と厚生労働省が発表した「食事バランスガイド」によれば、1日200グラムの果物を摂取するのが望ましいとされているが、目標には届いてない状況だ。
年齢別には、30代の43.9グラム、次いで20代の46.9グラムが低い。逆に高いのは70代の159.4グラム、次いで80代以上の141.7グラムだった。つまり、20代、30代といった若い人たちが果物を食べなくなっているのが大きな課題。30代の果物摂取量は70代の3割に満たない。
若者が食べない理由
日本人にフルーツ摂取を呼びかける「フルーツニュース」動画を20年3月に公開したイノセントジャパン(東京都渋谷区)の調査では、果物を取らない理由トップ3として、「値段が高い」(49.6%)、「食べるまでの処理が面倒」(46.5%)、「食べる習慣が無い」(38.2%)が挙げられている(20年2月下旬にインターネットで実施。対象者は20〜40代の企業に勤務する男女400人)。
一方、健康・美容意識が高い人は、果物の摂取頻度が高い結果となった。週に3回以上果物を摂取する人は、一般人が37.8%なのに対して、栄養士が66%、スポーツ選手/モデルが62%と、はるかに高かった(同、栄養士・スポーツ選手・モデル各50人)。
果物によって含まれている栄養素は異なるが、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンE、カリウム、食物繊維、有機酸、ポリフェノール類の摂取に欠かせない。
皮をむく面倒さを解消してヒットした商品に、1998年にクラシエ(東京都港区)が発売した「甘栗むいちゃいました」がある。
りんご飴は屋台の定番だ。20年1月にオープンした東京・代官山のりんご飴専門店カフェ「Candy apple」のように8店の常設店をチェーン展開し、全国で期間限定のショップを開設している専門店もある。
16年、東京・八丁堀にオープンした「sonna banana」(現在4店)が火付け役となってバナナジュース専門店がヒット。東京都内には20店ほどのバナナジュース専門店があるようだ。
ジュースにして飲むだけなら、皮をむく手間が掛からない。顧客にポイントカードを発行してたまったポイントで特典を付ければ、常連化して飲む習慣が付く可能性が高まる。
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