「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。
流行をつくるのではなく
冒頭で、クリスピーが店舗数を絞り込んだ話をしたが、現在は都市部を中心に59店舗を構えている(9月現在)。今後の予定を聞いたところ「この1年間に、2ケタ出店を目指す」(若月さん)そうだが、そうなると気になるのはどこまで増やすかである。
メディアの人間からすると、「2年以内に100店舗にする!」「ミスドの背中が見えてくるまで、店を増やす!」といったコメントを期待するわけだが、そこは冷静。「店舗数を増やす=成長」とはとらえていなくて、こだわっているのはお客から「長く愛されること」のようである。
「長く愛される」ために、どんなことにチカラを入れていくのだろうか。同社は期間限定の商品をたくさん投入しているが、その中から「ヒット商品」が生まれたとしよう。店にたくさんの人が集まって、その商品が売れる。売り上げもぐーんと伸びるわけだが、その熱狂は一過性で終わるかもしれない。
「『スマッシュヒットを飛ばして流行をつくる』といったポジションではなく、お客さまから『長く愛される』商品を提供していきたいですね。言葉で表現すれば『定番』。そのようなポジションを築くには、どうすればいいのか。やはり従業員の教育は欠かせませんし、顧客満足度も高めていかなければいけません」(若月さん)
最後に、このような質問をした。「上陸した当時のように『行列の絶えない店』と呼ばれたいですか?」と。若月さんは熟考することなく、「いえ、興味がありません」ときっぱり否定した。
ドーナツの輪のように、ファンになった客はまた戻って来る。「ぐるぐるぐる」と。クリスピーが考える「定番」とは、そのような姿なのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。
なぜ山善の「焼肉グリル」は25万台も売れたのか 開発のヒントが面白い
山善の「焼肉グリルシリーズ」が売れている。第1弾が登場したのは、2020年7月のこと。その後、第2弾、第3弾を投入し、22年7月現在で累計25万台を突破した。なぜホットプレートがこれほどウケているのだろうか。人気の秘密を取材したところ……。
ウェンディーズは「いま」どうなっているのか わずか1店舗からの“ウルトラC”
都市部を中心に「ウェンディーズ」の店を見かけるようになった。バブル時、100店を超えるほどの勢いがあったチェーン店はいまどうなっているのだろうか。同社の会長と社長を取材したところ……。
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。


