「90秒ラーメン」は広まるのか 米国からやって来た自販機のミライ:週末に「へえ」な話(3/5 ページ)
米国からやってきたラーメン自販機をご存じだろうか。その名は「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」。わずか「90秒」でアツアツのラーメンが出てくるが、日本でどこまで広まっているのだろうか。取材したところ、やや苦戦しているようで……。
残念ながら「わずか3台」
このほかに、物価の上昇も影響を受けている。米国でベーグルとコーヒーのセットを注文すると、2000円を超えるところも珍しくなく、レストランに行けばチップを支払わなければいけないので、3000円、4000円は当たり前といった感じである。一方のヨーカイは12〜13ドルなので、2000円を切る。「給料日前なのでちょっとキツイ。今日のランチは自販機で」という人がじわじわ増えているようだ。
また、人手不足も自販機の普及を後押ししているとのこと。会社や学校などのカフェで働く人が不足しているので、店を開けることができない、または営業時間を短くする、といった状況が生まれている。その代わりに自販機を設置するといったケースがでているようだ。
米国の自販機は88食分をストックできるが、日本ではスペースのことを考えて、機械のサイズをやや小さくし、最大50食に抑えている。「1日に1台当たり100食の販売を目指している」(同社)ので、詰め替え作業は2回行うことを想定している。
さて、設置台数の話に戻そう。「22年は500台の設置を予定している」という話だったが、9月末時点で何台稼働しているのだろうか。残念ながら、わずか「3台」である。
「ちょ、ちょ、ちょっと、差がありすぎるね。大丈夫なの?」と思われたかもしれないが、設置台数が伸びなかった理由は2つある。食べた人からは「意外とおいしい」という声が多く、「ウチの空きスペースにも置いてよ」といった引き合いはあるものの、世の中は「半導体不足」である。ヨーカイもこの影響を受けていて、想定通りの台数をつくれなかったのだ。
先ほど米国と違って、日本ではコンパクトな自販機を設置しているといった話をしたが、このタイプを米国でも展開することに。半導体が足りない中でも、なんとかできた貴重な自販機を米国に送って、日本は後回しの状態に。ということもあって、遅れに遅れているのだ。
もう1つの理由は、自販機の不具合である。高速道路のパーキングエリアや空港に設置したものの、冷凍状態のままででてきたり、お金は支払ったのにラーメンがでてこなかったり。こうしたトラブルを改善するために時間がかかってしまって、目標台数と設置台数に大きな乖離(かいり)が生まれたのだ。
関連記事
- 「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - ウェンディーズは「いま」どうなっているのか わずか1店舗からの“ウルトラC”
都市部を中心に「ウェンディーズ」の店を見かけるようになった。バブル時、100店を超えるほどの勢いがあったチェーン店はいまどうなっているのだろうか。同社の会長と社長を取材したところ……。 - なぜ山善の「焼肉グリル」は25万台も売れたのか 開発のヒントが面白い
山善の「焼肉グリルシリーズ」が売れている。第1弾が登場したのは、2020年7月のこと。その後、第2弾、第3弾を投入し、22年7月現在で累計25万台を突破した。なぜホットプレートがこれほどウケているのだろうか。人気の秘密を取材したところ……。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.