「働かないおじさんたちに給料を払いすぎ」 男女の賃金格差に納得できる理由1位は?:働く主婦たちのホンネ
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関「しゅふJOB総研」は、「男女の賃金格差」をテーマに、主婦層を中心とする就労志向の女性にアンケートを実施した。男女の賃金格差に納得する理由1位は?
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実態を研究する「しゅふJOB総研」を運営するビースタイルホールディングス(東京都新宿区)は、「男女の賃金格差」をテーマに、主婦層を中心とする就労志向の女性にアンケートを実施した。男女の賃金格差に納得する理由1位は「仕事への責任の重さで差がつく時」(61.2%)だった。
2022年7月8日に女性活躍推進法が改正され、常時雇用する労働者が301人以上の事業主に「男女の賃金の差異」の情報公表が義務づけられた。この10月からは7月決算の企業による情報公表が始まっている。
「しゅふJOB総研」の調査によると、同じ仕事をしているのに男女で賃金が異なることを不公平だと感じたことがある人は全体の62.0%。これを年代別に見ると、年代が下がるにつれて不公平感は薄れ、60代以上が72.4%に上るのに対し、30代以下では37.3%にとどまる。
男女の賃金格差に納得する理由(複数回答)の1位は「仕事への責任の重さで差がつく時」(61.2%)だった。以下「深夜など働く時間帯の違いで差がつく時」(52.7%)、「成果や生産性の高さで差がつく時」(52.2%)、「資格の有無で差がつく時」(51.0%)と続く。一方で「いかなる理由であれ、納得感はない」との回答も5.1%あった。
男女の賃金格差に不公平感を抱いている人のコメントを見ると、「まだ世の中に男尊女卑の考え方があることが信じられない」(40代)、「日本は働かないおじさん達に給料を払いすぎ」(40代)、「男性が経済的に家族全体を支えるという世の中ではなくなった。男女の違いではなく、仕事の中身で評価されるべき」(50代)、「女性というくくりで、役職につけないのは問題」(70代)など、昭和の価値観がいまだに受け継がれている実態を不満に思うコメントが目立った。
この結果について、しゅふJOB総研 研究顧問の川上敬太郎氏は「60代以上の女性の多くは、1986年に男女雇用機会均等法が施行される以前から働いていた人たち。職場で『女の子』と呼ばれ、『寿退社(結婚退職)』が日常用語として使われていた時代から働いてきた世代にとって、賃金面においても男女格差を実感する場面が多かったのかもしれない」と分析する。
一方で、年代が下がるとともに賃金格差を不公平だと感じる比率が下がっているということは、まだ不十分とはいえ徐々に男女格差をめぐる職場環境の改善が進んできているとも考えられる。
川上氏は「スキルアップや成果が賃金の上昇につながれば社員の励みになるが、逆に、差がつかなければやる気を削いでしまうことにもなりかねない。個々の働き手の賃金に対する納得感は、企業の人事戦略の成否を左右する重要な要素なのだと再認識する必要がある」とまとめている。
調査は7月12〜19日にインターネットで実施した。対象は主婦のための仕事情報サイト「しゅふJOB」の登録者569人(女性)。
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