2015年7月27日以前の記事
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月面でのモバイル通信も! KDDI総研が挑む「6G時代」の夢広がるプロジェクト房野麻子の「モバイルチェック」(4/5 ページ)

KDDI総合研究所の先端技術研究所(埼玉県ふじみ野市)が、報道関係者向けに研究プロジェクトを紹介するイベントを開催した。Beyond 5G/6Gでの実用化を目指した、まだ研究段階のものが多かったが、実現すればユーザーがより快適になる、未来への夢が広がる技術だ。興味深いプロジェクトの一部を紹介しよう。

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カラーで動くホログラフィー

 KDDI総合研究所では、次世代の立体映像表示技術としてホログラフィーの研究をしている。VRでヘッドマウントディスプレイで見るような立体表示は疑似的なものなので、長時間見ていると人によっては疲れたり酔ってしまったりする。

 ホログラフィーはそうした課題を解決する技術として期待されている。ホログラフィーは、物体があることで出てくる光、光波を忠実に再現することで、物体がなくても本当にあるように見える技術だ。


従来からあるアナログのホログラフィー。奥行きがあって物体が本当にあるように見えるが、実際には縞模様のようなものが印刷されているフィルム1枚が貼られているだけ。それに光を当てると立体物のように見える

 ホログラフィーを作るには、暗室に実物を置いてレーザー当て、反射してくる光を記録する。別の経路でもレーザーを当て、2つのレーザー光を干渉させて出てくる複雑な干渉パターンをフィルムに書き込み、それに光を当てるとホログラフィーが表示される形だ。

 複雑な工程を踏む必要があるが、KDDI総合研究所は、コンピュータの中で光の伝搬や光の干渉をシミュレーションして作る「計算機合成ホログラム(CGH)」の研究を行っている。

 デジタル化できると、デジタルデータとして遠隔地に伝送し、そこで立体表示させることも可能になる。ホログラフィー技術を使った次世代のコミュニケーションの実現を目指しているという。

 5月には関西大学と共同で、この技術を使って2コマのカラーアニメーション化にも成功した。イベントでは、静止画とアニメーションで蝶のホログラフィーが展示されていた。


ホログラフィーのカラーアニメーションの仕組み

実際の立体映像。向かって右が静止画、左がアニメーション

 計算機合成ホログラムでは、400K、200Kという非常に高解像な干渉パターンの画像を書き込む必要があるという。現状、それを表示できるディスプレイは存在しないが、将来的に、それほどの画素数に対応できるようになったら、滑らかな立体の動画再生ができるようになるかもしれない。SF映画のようなホログラフィーが見られる将来も夢ではない。

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