カニカマ「専用ピック」で本物のカニそっくり! 試行錯誤に2年、なぜ開発したのか:こだわり徹底(2/2 ページ)
カニカマ大手のスギヨは、玩具メーカーとコラボし、カニの殻の形をしたカニカマ専用ピックを開発した。カニの骨と同じ2本の薄く平らなピックをカニカマに刺すことで、本物のカニのように見せるユニークな商品だ。アイデア商品を展開し、市場を盛り上げていく狙いだ。
当初目指したのは「人工クラゲ」?
カニカマは、風味や食感をカニに似せて作ったかまぼこ。スケトウダラなどの魚肉を主な原料としている。カニカマが誕生したのは1970年代。しかし当初、スギヨが開発を目指していたのはカニカマではなく、人工クラゲだったという。
60年代後半、日中関係の悪化で中国産クラゲの輸入が激減し、珍味業界からスギヨに人工クラゲの開発依頼が舞い込んだ。
完成品をしょうゆにつけて食べるとクラゲのコリコリした食感が失われ、似ても似つかぬ代物に。失敗かと思われたが、刻んだ人工クラゲを束ねると、カニの身に似ていることに気付き、そこから開発はクラゲからカニへと一気にシフト。72年、スギヨのカニカマ商品「かにあし」が誕生した。
しかし、当初は「インチキ商品」「売れるはずがない」と卸業者や消費者の評価は散々だったという。それでも営業担当者が根気強く商談を重ね、徐々に認知度を拡大し、爆発的なヒットを記録。商品やパッケージの改良を重ね、種類を増やし品質も向上させた。その結果、メスのズワイガニをイメージしたカニカマ商品「香り箱」は2006年に農林水産祭の最高賞「天皇杯」を受賞した。
カニカマは高タンパク低カロリーでヘルシーな食材として知られている。カニカマを始めとする風味かまぼこ市場は、年々拡大が続いており、市場調査会社の富士経済(東京都中央区)によると、21年の市場規模は前年比4.2%増の552億円を見込む。消費者の健康志向ニーズと合致するほか、高級食材の代替需要も獲得しており、今後も市場拡大が見込まれている。
価格高騰にカニカマの出番?
これから旬を迎えるカニだが、今年は価格高騰が指摘されている。気候変動が原因とみられるズワイガニの個体数の減少や、ロシアのウクライナ侵攻、燃料費の高騰、記録的な円安も相まって、例年の3倍近い値がついているとも報じられている。
田畑さんは「値上がりでカニの購入を断念する人もいるのではないか。『いつか本物のカニを食べたいね』と家族で笑いながら、カニスギ〜ヨと一緒にカニカマを楽しんでもらえたらうれしい」と話す。
大人のカニカマ専用ピック「カニスギ〜ヨ!」は4本入り税込み2200円。11月5日からハンズ新宿店で先行発売するほか、6日からオンラインショップでも発売する。
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