異色の新作『水星の魔女』が話題 ガンダムが“冬の時代”を乗り越えて愛され続ける理由:新連載:大澤孝「トイクリエイターの発想法」(1/4 ページ)
ロボットアニメの代名詞ともいえるガンダムシリーズ。10月から放映中の新シリーズ『水星の魔女』が話題だ。かつてロボットアニメといえば隆盛を極めた時代もあったが、なぜガンダムだけがかように生き残り続けられるのか。「ファースト世代」でもあるトイクリエイター・大澤孝氏が解説する。
新連載:大澤孝「トイクリエイターの発想法」
「スーパービーダマン」「ベイブレード」といった人気玩具の開発に携わってきたトイクリエイター大澤孝氏が、ヒットしているコンテンツや業務に生かせる発想法を解説していく新連載。初回は、新シリーズが話題のガンダムシリーズについて、愛され続ける秘訣を解説していく。
機動戦士ガンダムの新シリーズ『水星の魔女』が話題だ。筆者も興味半分で第1話から視聴しているが、思いのほかのめりこんでしまい、早くも今後の展開が気になっている。SNSでの評判を見る限りでは、かなりの賛否両論が巻き起こっている様子だが、どちらかというと、回を重ねるごとに徐々に評価が高まっているようにも感じられる。
ご存じの方も多いかもしれないが、本作はガンダムシリーズでは珍しい学園モノで、テレビアニメシリーズとして初めて女性主人公が登場する作品である。モビルスーツ同士の戦いは相手の命を奪うための「戦闘」ではなく、学生同士のトラブルを解決するための「決闘」であるなど、従来と比べるとかなり異色な設定となっている。
団塊ジュニア世代の筆者は、ファースト(『機動戦士ガンダム』、いわゆる「初代ガンダム」)世代のど真ん中。小学生であった当時は、放課後に親からもらった小遣いを手にしばしば近所のおもちゃ屋に向かったものだ。当時は144分の1サイズのプラモデルが数百円と、子どもの財布にも優しい価格帯であった。
筆者は「おもちゃクリエイター」として活動しているが、大学を卒業してから迷わず玩具の世界に飛び込んだ要因としては、やはりガンダムの影響が大きかったように思う。かつて勤めていた玩具メーカーでは「スーパービーダマン」というビー玉を発射する小学生向け玩具の開発チームに在籍していたことがあるが、そのころの担当商品のデザインでも多くの影響を受けていた。それほどに、筆者の世代にとって、ロボット=ガンダムという文脈が深く刻み込まれているのだ。
ガンダムだけがロボットではない
とはいえ、当然ではあるが「ロボット=ガンダム」ではなく、ロボットアニメの歴史をひもとくと、ガンダム以外にもさまざまな名作がある。
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