いないはずの時間帯にまさかのお客が!? イオンリテールが「AIカメラ」を導入して気付かされたこと:導入店舗を拡大中(1/4 ページ)
イオンリテールが「AIカメラ」を導入する店舗を増やしている。接客が必要な顧客や、店舗全体の人流を解析するのに役立てる。映像を分析して担当者が驚いたこととは?
イオンリテールが、快適な買い物環境を実現するために「AIカメラ」の活用を進めている。2021年5月、「イオンスタイル川口」(埼玉県川口市)に導入したのを皮切りに、70店舗にまで拡大(22年11月末時点)。22年度末には約80店舗に導入予定だ。
店内カメラの映像を分析することで、どのようなことが分かってきたのか。同社ストアオペレーション部の丹羽 龍氏に話を聞いた。
接客が必要な顧客を感知
同社ではAIカメラを通じて、次のようなことを実現しようとしている。
1つ目は、接客を必要とする顧客を見つけることだ。例えば、衣料品や暮らしの品売り場などで、商品を眺めている顧客がいたとする。AIカメラの分析・学習機能により、接客が必要かどうかを自動的に判断し、従業員に通知する。従業員が離れた場所で作業していたとしても、売り場に直行することで接客対応が可能になる。
2つ目は、レジ前に設置したカメラ映像をもとに、AIが顧客の年齢を推定することだ。もし、20歳未満だと推定した場合は、自動で従業員に通知される仕組みになっている。レジ従業員(特に働き始めたばかりのアルバイト)にとって、「身分証明書を出してください」と顧客に伝えるのは心理的なハードルが高い。AIカメラを導入すれば、「通知が出てしまったので、証明書を見せてもらえますか?」といったやりとりが可能となり、ストレスは軽減される。そうした年齢確認の判断業務から解放することを狙う。
3つ目は、顧客の店内動線、売り場への立ち寄り時間、手を伸ばした商品棚などの情報を自動で集積し、可視化することだ。店内レイアウトや品ぞろえの改善などにつなげる。
イオンリテールではこれまで、顧客の属性などを把握するため、店舗入り口でアルバイトが客数をカウントしたり、アンケートで1週間の来店回数を尋ねたりといった調査手法を採用してきた。ただ、この方法だと、人件費などのコストがかかる、1年のうち限られた日数しか調査できないといった課題があった。
また、店内にカメラは設置しているが、盗難などの事件があった際、事後的に映像を分析するといった用途にとどまっていた。
丹羽氏は、AIカメラを導入しようと考えた理由について「(あまり活用できていなかった)カメラの映像を、もっと能動的に使えるのではないかと考えた」と説明する。カメラの映像を低コストで分析できるような技術革新が進んだことも背景にある。
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