700人待ちの「シャトレーゼ体感ツアー」 ブランド理解を深める”スイーツ旅”誕生の裏側:工場見学の進化版(1/3 ページ)
菓子メーカーのシャトレーゼは1泊2日で1万5000円(大人料金)の「シャトレーゼ体感ツアー」を2022年7月にスタートした。ツアーは好評で定員(40人)の20倍近い「待ち」が出る回も。しかもツアー参加者は、その後の来店頻度が2倍以上に跳ね上がるという。どのようなツアーなのだろうか?
シャトレーゼホールディングス(HD)傘下のシャトレーゼ(山梨県甲府市)が2022年7月にスタートした「シャトレーゼ体感ツアー」が好評だ。週1回程度のペースで開催されるこのバスツアーは、1泊2日(3食+スイーツ付き)で大人(高校生以上)が1万5000円、小人(3歳以上・小・中学生)が1万円(3歳未満は無料)。
ツアー1回の定員は40人だが、シャトレーゼ白州工場(山梨県北杜市)で人気・最新のスイーツを満喫できる上、シャトレーゼHD系列の「シャトレーゼホテル にらさきの森」に宿泊できるとあって、多いときは700人を超える待ちが出るほどの人気となっている。
シャトレーゼ体感ツアーは、22年4月に終了した「白州工場見学」に代わってスタートした企画だ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、白州工場見学は2年近くも休止状態だった。
ブランドの認知度向上から理解度の向上へ
今川焼き風の菓子を製造していた甘太郎(山梨県甲府市)とアイスクリームの大和アイス(山梨県甲州市)が合併してシャトレーゼが誕生したのは1967年の12月。全国の工場直売店に向けた商品供給の中心的存在となる白州工場が完成したのは1994年のことだ。
シャトレーゼ広報室の中島史郎室長は「完成当初から白州工場の見学はできたが、注目され始めたのはアイスクリームの食べ放題(無料)を始めた2000年代に入ってから。その後、テレビ番組や雑誌などで取り上げられるようになり、見学者が増えていった」と話す。この頃の見学者数は、多いときで年間30万人超え。特に夏場は無料のアイスクリームを目当てに工場を訪れる客が殺到したという。
「アイスクリームの食べ放題を始めた頃はまだシャトレーゼブランドの認知度が低く、(たとえ無料のアイスクリームが目当てだとしても)工場見学に来てもらえるだけで良かった」と中島室長。
実は創業者である齊藤寛会長の方針で、シャトレーゼには「宣伝広告費」という予算枠がない。テレビCMなどに頼ることもできない、TwitterやInstagramといったSNSも使いこなせていない状況でブランドの認知度を上げるには、工場見学が唯一とも言える方法だった。
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