NTT、居住地自由のテレワーク 出社マストの職種に不公平はないのか?(1/3 ページ)
NTTは2022年7月から「リモートスタンダード」を導入した。リモートワークがデフォルトで、居住地の制限を設けないことが特徴だ。グループ全体での対象者は3万人とのことだが、出社マストの職種に不公平はないのだろうか?
通信の巨人NTTが動いた。優秀なデジタル人材をGAFAやベンチャー企業に奪われてはなるものかと、働き方や人事制度の改革を推進している。なかでも注目は、22年7月から開始した「リモートスタンダード」と呼ばれる制度だ。
最大の特徴は、リモートワークがデフォルトで、居住地の制限を設けないこと。ヤフーやメルカリなど一部のIT企業では働く場所の自由化に関する動きは広がっていたものの、NTTほどの規模の企業が導入するのはおそらく初となる。
出社時は、出張扱いとして運賃や宿泊費を原則全額支給するという。この新制度の狙いをNTT執行役員総務部長の山本恭子氏に聞いた(以下、コメントはすべて山本氏)。
リモートワークがデフォルトで出社とのハイブリッド運用
山本氏は開口一番、「会社のために家族やプライベートなど、人生や生活における重要な要素を犠牲にする必要はありません。特に異動による単身赴任と転居をなくしたいと考えています」と制度の狙いについて話す。
NTTでは昨年、「新たな経営スタイルへの変革について」と題したアフターコロナの時代を見据えた経営方針を打ち出した。そのなかの重要な考え方として、仕事を家族や趣味などと同じように人生の一要素として捉えるという「ワーク・イン・ライフ」を掲げている。冒頭の山本氏のコメントでも分かるように、今回のリモートスタンダードもこの方針に沿ったものだ。
リモートスタンダードは、従来と比較して何が変わったのだろうか。以前は、出社が基本で片道2時間以内の通勤圏内に居住することが求められた。リモートワークについても、上長の承認が必要とされた。その一方で、リモートスタンダードは以下の特徴を備えている。
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