コラム
「部下に退職代行を使われた」 無理やり本人を出勤させることはできるのか?:退職代行会社とのやり取りはどうする?(1/3 ページ)
退職の申し出をする際に退職代行サービスを利用する人が増えてきたという意見を耳にする。退職代行会社から連絡が来ても本人を出勤させることはできる? 引き継ぎはどうすべき? などの疑問を社労士が解説。
最近、顧問先の企業から「退職代行」に関する相談を受ける機会が増えました。退職代行とは、労働者が会社に対して行う退職の申し出を民間会社が代わりに有償で行うサービスです。昔からよくある「本人でなく親から退職の連絡があった」というものが、親から民間会社に変わったとイメージすると分かりやすいでしょう。
利用料金は2万〜5万円とサポート内容によって差があります。当初は「数万円も払って、こんなサービスを利用する人なんていないのでは?」というのが一般的な見解でしたが、実際は20〜30代を中心に広く活用され、近年では退職手段の一つとして一定のポジションを確立しています。
民間企業が立ち上げ、展開してきたビジネスですが、最近は弁護士事務所、労働組合も参入し、比較サイトができるほど盛り上がっています。それぞれ本人に代わって退職意思を通知するのは共通していますが、以下のような違いがあります。
「明日から出勤しません」「引き継ぎ資料は残しました」 どう対応? 実例を紹介
退職代行会社からの連絡は、どの会社にも突然やってくる可能性があります。連絡手段は電話とFAXのセットが多く、FAXには通常以下のことが書かれています。
- 退職の意思表示
- 今日から出勤しないこと(年次有給休暇があれば、それを使用する)
- 本人への連絡禁止
- 速やかな雇用保険、社会保険などの喪失手続きの依頼
- 私物の郵送、または廃棄の依頼
なお退職日は、就業規則で「退職は30日前に申し出ること」と定めていても、その定めに従うことはなく、以下のどちらかで設定してくるのが一般的です。
以下、過去にあった事例をご紹介します。なお、守秘義務の観点から内容が変わらない程度に修正を加えています。
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