4月に「雇用調整助成金」制度がリニューアル 助成額の増額など3つの変更点を解説:6月30日まで適用(1/3 ページ)
コロナ禍で認知が広がった「雇用調整助成金」。コロナ禍という特殊な環境下において、失業回避への取り組みの重要性が増したため「緊急対応期間」を定め、提出書類の簡素化、申請ルールの緩和、助成額の増額などの措置を講じ、2022年4月にリニューアルした。今までどう違うのか? 3つのポイントにまとめて解説していく。
コロナ禍をきっかけに日常的に“助成金”という言葉を聞くことが多くなりました。この助成金の中で最も知られているのが、「雇用調整助成金」だと思います。
簡単に解説すると、例えば工場で原材料が輸入できなくなり製造ラインを停止する場合、会社は労働者に与える仕事がなくなるので自宅待機を命じることになるでしょう。その場合でも会社は一定の給与(休業手当)を支払う義務が法的にあります。すぐに原材料が入ってくれば良いですが、先行きが不透明なときは、ずっと休業手当を負担し続けるわけにもいかないので解雇しようという判断になります。
解雇された労働者を他社が雇用するのであれば良いのですが、災害時のような環境下では受け皿が不足するので、そのまま失業者となってしまいます。
解雇を思いとどまらせるために「会社が支払った休業手当を助成金で応援してあげましょう」というのが雇用調整助成金です。これにより労働者は雇用を守られ、会社も育成した労働者を流出させずにすみます。
202年4月にリニューアル もともとの形からどう変わった?
雇用調整助成金は、労働者に失業回避というメリットをもたらすとともに、会社にも一定のスキルを持った労働者を繁忙期に備えて確保できるという大きなメリットがあるため、極めて厳格に運用されていました。
ただ、コロナ禍という特殊な環境下において、失業回避への取り組みの重要性が増しました。そのため「緊急対応期間」を定め、提出書類の簡素化、申請ルールの緩和、助成額の増額などの措置を講じ、会社にとって使い勝手の良いものに作り変えられました。
現時点で「緊急対応期間」については、2022年6月30日までの延長が確定しているものの、さらに期間が伸びる見込みです。
関連記事
- “納得感のない人事評価”の原因に 「目標設定のNGワード」とは?
新年度の目標設定をどうすべきか、頭を抱えている上司も多いのではないか。「そもそも組織目標が不明瞭」「組織目標と個人目標の連鎖が弱い」など中長期的に解決すべき問題も……。新年度が始まるにあたり、社員に納得してもらえる目標設定をするために使うべきではない「NGワード」を人事コンサルタントが解説する。 - 「仕事終わっていないけど、定時で上がります」 中年社員は新卒との”ジェネレーションギャップ”をどう解消すべきか?
上司や先輩は、4月に入社した新入社員に新鮮さを感じるとともに、ジェネレーションギャップに悩みはじめるタイミングだろう。最近の若者は働くにあたってどのような意識を持っているのか? また、ジェネレーションギャップを解消するために中年社員はどのような働きがけをすべきだろうか? - 「営業配属だけはイヤだ」 新卒は、なぜ営業職にアレルギーを持つのか?
「企業の人材不足」に関する調査によると、「営業職」の人員不足が最も高いことが分かった。「営業はキツい」「新規営業をやっている女の子が泣いていた」などSNS上では営業職に関するネガティブなエピソードも見られる。しかし、総合職の約7割が営業職に配属される時代だ。企業側は苦手意識を持つ新卒をどのようにマネジメントすべきか? - 「会社も社員もWin-Winな福利厚生」とは? 福利厚生の最新トレンドを知る
「従業員が欲しがる福利厚生」と「企業側が実施したがる福利厚生」は、必ずしも一致しません。コロナ禍、テレワークの浸透、賃金の低下傾向、物価上昇──社会状況に伴い、福利厚生のトレンドにも変化が起きています。「企業も従業員も、双方がメリットを享受できる福利厚生」とはどういうものか、探っていきます。 - 「残業ゼロ」を目指して、固定残業制を導入 いかにして不公平感をなくしたのか
固定残業制とは、会社が一定時間の残業を想定して、実際の残業時間を計算せずに、固定分の残業手当を支払う制度。導入している企業の事例を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.