なぜ若者に「純喫茶」の定番メニューが人気なの? 単なるレトロではない“昭和の喫茶”ブームの背景:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
昭和の喫茶をコンセプトにしたお店が若者に支持されている。大手チェーンだけでなく個性的なお店も続々登場している。単なるレトロではない人気の背景は?
昭和レトロがブームになっているといわれる中、“昭和の喫茶”が復活している。コメダ珈琲店をはじめとする郊外型喫茶が既にブレークしていたが、コロナ禍になってからクリームソーダ、ミックスジュース、ナポリタン、プリンといった純喫茶の定番メニューが見直されている。
また、メロンソーダにお酒を入れてカクテルをつくる動きも広がってきている。インスタグラムなどSNSに写真をアップして見栄えがする、いわゆる「映えグラス」にて提供するのが、お約束となっている。
同じ空間で「昼は喫茶、夜は酒場」と、時間帯によって業態を分ける“キッサカバ”なる提案も、大手チェーンで行われている。
令和の時代になぜ昭和風喫茶なのだろうか。探ってみた。
プロントの二毛作業態
カフェ&バー「プロント」を展開してきたプロントコーポレーション(東京都港区)は、従来から昼は喫茶、夜はバーに切り替わる二毛作業態として、人気を博してきた。同社・広報によればプロントは全国に約200店を出店している。
しかし、これまでは昼と夜の切り替えがシームレスで不徹底だったとして、21年より、昼は喫茶、夜は酒場と明確に分けるリブランディングを実施。リブランディングをした業態のディナータイムを、キッサカバと称して全国の店舗を順次リニューアルしている。同年4月10日にオープンした銀座コリドー店(東京都中央区)が、リブランディング1号店だった。
背景として、プロントの店舗は主に、東京をはじめとする大都市の都心部やターミナル駅の駅前が多かった。コロナ禍でリモートワークが進むと、都心部の昼間人口が減り、電車を使って出勤する人も減って、プロントは大きな影響を受けた。
コメダのような郊外型喫茶は、ロードサイドに店舗が多く、基本はマイカーで行く店。コロナ禍で外食のニーズが減退しても、生活者に選ばれた。しかし、プロントに足を運んでいた人たちの多くは、ビジネスマンやOLで、家に巣ごもりするようになっては集客を上げようにもどうにもならなかった。加えて、緊急事態やまん延防止等重点措置の期間中には、時短と酒類提供の自粛を要請されていた。
当初は3カ月から半年くらいで、コロナ禍のパンデミックが収まると多くの人が考えていたが、いまだに第8波が来たと騒然としている状況だ。
しかし、ビジネス街で飲食をする人がコロナ前より減っても、探せば繁盛している店も確かにあるにはある。
「プロントも人々に選ばれる店でありたい」(同社・広報)というのが、リニューアルに踏み切った理由だ。
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