「香りを漂わせるマシン」が登場 人の行動を変えられるのか:週末に「へえ」な話(1/3 ページ)
「プシュー」という音がするたびに、香りが漂う装置が登場した。嗅覚を刺激することで集客効果を高めていくそうだが、人の行動を変えることができるのだろうか。装置を開発した社長に話を聞いたところ……。
「プシュー」という音がするたびに、パンケーキの甘い香りが漂ってくる――。
焼き肉やウナギの店などで、人がたくさんいる方向に向けて換気扇を設置しているところがある。食欲をそそる香りが漂ってくるので、「あー、焼き肉を食べたいなあ」と思って、フラフラと店に入ってしまった人もいるはずである。
焼き肉店の場合、実際に肉を焼いて、その香りが店外に漂っているわけだが、人工的に香りをつくりだして、集客効果を高めようという動きがある。「Scenery Scent(シーナリーセント)」という会社が手がけていて、その装置の名は「Ambiscent(アンビセント)」。小さな瓶の中に香りが詰められていて、それを機械にセット。冒頭で紹介したように「プシュー」という音がするたびに、香りが漂うのだ。
アンビセントの仕組みはシンプルである。機材の中に人感センサーを搭載していて、近くを人が通ると、噴射孔から香りがでてくるというもの。香りはピンポイントに届くので、ちょっと離れた人が「パンケーキの香りがするなあ」と感じることはなく、また微細なミストなので、衣服などに香りが付くリスクも低いそうだ。
で、この装置を使って、どんなことに役立てようとしているのか。同社で社長を務めている郡香苗(こおり・かなえ)さんに聞いたところ「嗅覚を刺激することによって、集客力を高めたり、商品を印象づけたり、演出効果として期待しています」とのこと。
「ほんとかよ。香りを噴射するだけで、効果があるとは思えないね」と感じられたかもしれないが、Webメディアの「販促マップ」が都内のスーパーマーケットの特設カレーコーナーに、カレーの香りを出す機材(別のモノ)を設置して、どのくらいの人が購入したのかを調査した。
どのようなプロモーションをすれば、消費者はカレーを手にするのか。(1)販促ツールなし(2)デジタルサイネージを設置(3)デジタルサイネージとPOPを設置(4)デジタルサイネージと香りを噴射。この4つのパターンで検証したところ、最も多くの人が購入したのは「デジタルサイネージ+香り」だった。つまり、「買ってみようかな」と感じさせるには、目と鼻を刺激することが効果的であることが分かってきたのだ。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.