「香りを漂わせるマシン」が登場 人の行動を変えられるのか:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
「プシュー」という音がするたびに、香りが漂う装置が登場した。嗅覚を刺激することで集客効果を高めていくそうだが、人の行動を変えることができるのだろうか。装置を開発した社長に話を聞いたところ……。
「プシュー」装置を開発
それにしても、なぜ香りを漂わせる装置を開発したのだろうか。郡さんはもともとアロマセラピストとして働いていたわけだが、ある人からこのようなことを言われた。「自分は舞台の特殊効果の演出をしている。煙を出したり、花火をあげたりしているが、芝居のワンシーンで香りを体感できるような演出をしたいと思っている。手伝ってくれないか」と。
郡さんにとっては、畑違いの仕事である。香りをつくる技術や経験はあるものの、ステージで演出できるような機材は持っていない。「舞台演出ってなに?」といったレベルの素人だったが、依頼があれば仕事を引き受けることにした。大きな劇場だけでなく、ライブ会場、ファッションショー、企業のイベントなどで香りを演出することに。
どのような仕組みで香りを漂わせているのかというと、舞台の袖にはスピーカーが並んでいる。その前または横に機材を設置して、大きなファンを回すことで、空間に香りを漂わせているのだ。1秒で5メートル先まで香りを拡散できるそうで、計算上では大きな会場でも問題なく漂わせることができる。が、しかしである。駆け出しのころ、経験が不足していたこともあって、うまくいかないことが続いたのだ。
例えば、ライブ会場で香りを漂わせることになったとしよう。もちろん、リハーサルを行うわけだが、そこでうまくいっても、本番ではうまくいかないことがあった。なぜか。人の息である。当たり前の話になるが、人間は息をする。吸って吐くという行為によって、香りの滞留が違ってくるのだ。リハーサルでは人がいない、しかし本番ではたくさんの客が詰めかける。人数によっても違うし、会場の広さだけでなく形状によっても違ってくる。
また、ライブによっては、観客が立つことがある。となると、鼻の位置が違ってくる。全員が座った状態を想定して、香りを噴射したものの、そのときのライブは盛り上がったこともあって、観客が立ち始めたのだ。そうすると、前列にたくさんの壁ができてしまって、後方の人たちにうまく届かないこともあったそうだ。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.