すき家の「深夜の自主トレ」は許されるのか 駐車場で店員2人が接客:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
すき家の「深夜の接客自主トレ」が話題になった。午前0時の投稿だったので「やっぱりブラック企業?」といった憶測が飛び交ったが、本人の希望ということが明らかになると、称賛の嵐となった。それにしても深夜の駐車場で、店員2人が接客のトレーニングをすることは、いかがなものか。
「プロすぎる」「神の域」などと称賛
これを受けてネットやSNSでは「応援」の声が圧倒的に多くなった。動画に登場した店の店内で、テキパキと動く店員の動画も拡散されて、「プロすぎる」「神の域」などと称賛されている。
このように高いモチベーションでスキルアップを目指すアルバイトの方に対しては筆者も心から応援をする。報道によれば、自主トレをしていたアルバイト店員はすでに予選を突破し、次の北日本支社の大会を勝ち抜けば、全国大会にも出場できるというので、ぜひ特訓の成果を生かしていただきたいとも思う。
ただ、だからと言って、この深夜の自主トレを「美談」ともてはやすようなムードには正直なところ、ちょっと違和感がある。
報道によれば、この夜は気温4度で雪も降っていたという。そんな中で、いくら本人が希望をしたからといって、指導をする立場の社員がいたならば、屋外で半袖でトレーニングをさせるようなことはやめるべきではなかったか。また、営業時間中に駐車場でやることなのかという問題もある。実際に現場を撮影されて拡散され、TikTokでは多くの若者に真似されているし、ネット上で「パワハラか」などとあらぬ誤解も招いてしまっているからだ。
このような社内の接客コンテストは、外食企業はよくやっていて、例えば有名なところでは、日本マクドナルドのALL JAPAN CREW CONTEST(AJCC)というものがある。これは1977年から開催している技能コンテストで、全国のクルーたちは日々スキルアップに励んでいる。だが、マックでは真冬の深夜、半袖姿のバイトが駐車場で配膳トレーニングをさせるようなことはない。
一方、「すき家」ではバイトが自分で望めば、寒空の下で半袖トレーニングもさせる。「雪も降ってきたから店内でできることをやろう」と社員がいさめることもなかったということだ。つまり、店側がバイトのトレーニング環境にそこまで「配慮」をしていないということでもあるのだ。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.