TikTokの新戦略と、抗戦するアマゾン 奪い合う「動画を見て衝動買い」の市場:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(5/6 ページ)
米TikTokが、ブランドやインフルエンサーの動画からすぐに商品を購入できるソーシャルコマースに参入した。米国内で物流や倉庫関連の求人を拡大し、本格的にこの事業に取り組む姿勢が見える。これに対抗するのがアマゾンだ。アプリ内でTikTokのように短編動画や写真をフィードできる機能を開発し、導入を進めている。両社がシェア拡大を狙うソーシャルコマース市場の魅力と展望とは?
ソーシャルコマースやライブコマースは定着するか?
ライブコマースやソーシャルコマースが中国で浸透した背景に、偽物の商品などがマーケットプレースにあふれていたために何を信用していいか分からない消費者が、インフルエンサーがおすすめするものであれば安心だという意識から消費判断をするようになったという意見もあります。
マッキンゼーのレポートによると、中国では、商品カテゴリーごとに高度な専門性とマーケティングに精通した専門家である「キー・オピニオン・リーダー」(KOL)というインフルエンサーが居て、多くの支持者を獲得しているとのことです。
美容やファッションなど特定の分野では、これらのソーシャルセレブリティが数分で数百万ドルの商品を販売し、一夜にして新商品を流行らせることができるほどだといいます。例えば、TikTokで1300万人以上のフォロワーを持つDoudou Babeというインフルエンサーは、シャネル、ランコム、イブサンローランといった一流ブランドともパートナーシップを結んでいます。
市場の背景は異なるものの、米国のAmazonでも類似商品が溢れかえっており、何を選べばよいか分からない、決断疲れをしている消費者が多いのが事実です。
フォレスターによる21年の調査によると、調査対象となった米国の25歳以下の成人オンラインユーザーの61%が、Webサイトやアプリから離れることなくSNSやクリエイタープラットフォームのネットワーク上で商品の購入を完了したと回答するなど、特に若い世代において、消費活動におけるインフルエンサーの影響力は増しています。
上述のマッキンゼーのレポートによると、米国では2021年に370億ドルの商品とサービスがソーシャルコマース・チャンネルを通じて購入されており、中国と比べると小規模ながらも急速に発展している分野であると言えます。
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