「上司よ、もっと叱ってくれないか」 若者は本当にそんなことを考えているのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
残業がなかったり、上司から叱られなったりする企業に対して、多くの若者たちが「ぬるい」と不満を感じているという。「ホワイトすぎる企業」に勤めている若者たちは、「社会人として成長できない」と危機感を抱いているらしいが、本当にそうなのか。
年の瀬に、昭和のおじさん世代の溜飲(りゅういん)を下げるようなニュースが飛び込んできた。
「ホワイトすぎる職場」去る若者急増 「ゆるいと感じる」背景に…“仕事の負荷低下”(テレ朝news 12月19日)
なんでも、長時間労働やハラスメントに配慮して、残業がなかったり、上司から叱られなったりする企業に対して、多くの若者たちが「ぬるい」と不満を感じているという。実際、「ホワイトすぎる企業」に勤めている若者たちは「社会人として成長できない」と危機感を抱いて続々と離職しているというのだ。
そんな驚きの話を受けて、「そうかそうか、わが社も若手に失望されないよう、明日からビシビシ鍛えてやるか」と決意をあらたにしている管理職もいらっしゃるかもしれないが、この話、あまり真に受けないほうがいい。
「ちょっと厳しく鍛えてやるか」と若者に“ソフトパワハラ”でもしようものなら、今日びネットやSNSですぐに会社の悪評が拡散されてしまう。また、多くの経験を積ませてやろうという親心から仕事量を増やしてやっても、「あっざーす! こういうシゴキを待ってました!」なんて喜ぶ若者はほとんどいない。あまり強引に続ければ心身の不調を訴えてきて、上司は人事部に呼び出しをくらうはずだ。
「えっー、なんでだよ! 『もっと厳しく、もっと叱って』って言ってたじゃんか」と納得いかない気持ちはよく分かる。ただ、この手の「若者が会社を辞めるのは、実は○○が原因だった」という類の話は、30年以上前から延々と繰り返されてきているのだが、その原因はピントがズレていることが多い。だから、真に受けて行動をしても若者の離職に歯止めがかからず、むしろ悪化してしまうのだ。
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