ニトリ、オーケー、業務スーパー…… 「店を増やして成長」が難しい時代に勝ち残る企業の条件：リテール市場の変化に迫る（3/3 ページ）

勝ち残る小売り企業はどこか。これまでの戦略が通用しなくなりつつあるが、筆者は取り組むべき指針を提示する。2023年も引き続き重要となる9つのテーマを解説する。

[佐久間 俊一，ITmedia]

23年も引き続き重要となる9つのテーマ

　次の表に23年における具体的な施策として9つの重要テーマを挙げました。以前から取り組んできたテーマが多い中、特に新しく注目されるであろうテーマは、独自コイン発行、店舗空間の価値化、知財活用です。ウォルマートは22年1月、独自コイン発行準備に入りました。とうとう金融業に参入し、新たな経済圏を確立しようとしていることが予想されます。この流れは日本においても同様であり、小売業に限らず独自コインを発行する企業が増加し、新たな経済圏を確立する動きが加速していくことでしょう。Web3領域含め、自社が独自で開発した技術やノウハウを特許申請し知財として活用していく流れも、ウォルマートが5000件以上特許申請している例にならって加速していくことが予想されます。

重要テーマ（1〜5）

重要テーマ（6〜9）

　これらの各取り組みは、派手さや突飛なものではなく、地に足の着いた堅実な内容です。個店対応を軸とした顧客視点にて、テクノロジーの流行に惑わされず、手段としてうまく取り入れながら、小売業の経営において普遍的な要素を軸に据え原点回帰をする。そのような企業が23年、成長軌道を歩むように思います。

　最後までお読み頂きありがとうございました。