「有明ガーデン」で客はどのように動いているのか スマホの電波から分かってきたこと:水曜日に「へえ」な話(1/4 ページ)
東京の江東区にある「有明ガーデン」で、ちょっとユニークな取り組みをしている。商業施設の中で、お客がどういった動きをしているのかを分析しているのだ。スマートフォンから発せられる電波を分析して、どのようなことが分かってきたのか。
東京の江東区にある「有明ガーデン」をご存じだろうか。首都圏で住んでいる人であれば一度は行ったことがあるかもしれないが、2020年6月にオープンした複合施設のことである。
約8000人を収容できるシアターがあったり、ホテルがあったり、スパがあったり、劇場があったり、モールがあったり。週末には3万人ほどが詰めかけているわけだが、施設を運営する住友不動産商業マネジメントはある悩みを抱えていた。「施設内で、お客がどのような動きをしているのか」である。
例えば、シアターやスパなどに1万人が訪れて、その1割の1000人がモールを訪れたとする。この数字を目にすると「そのぶんの売り上げがプラスされるので、相乗効果が生まれてホクホクですな」と推測した人もいるかもしれないが、話はそれほど単純ではない。
5階にフードコートがあって、そこを訪れる人は多いものの、そのほかのフロアーにどのくらいの客が足を運んでいるのか。そのことがよく分からなかったので、担当者はモヤモヤしていたのだ。もちろん、何も手を打たなかったわけではない。アンケートを実施したものの、質問に答えてくれるのはリピーターが多く、特に近隣に住んでいる人たちの声が目立った。
これだとちょっと偏りがあるということで、モールなどで優待サービスが受けられるカードの利用状況などを分析すれば、店でどのような商品を購入しているのかを把握することができる。しかし、カードを所有しているのもリピーターが多く、データを分析したものの、こちらもやはり偏りがうかがえた。
モールの中でお客は、どういった動きをしているのか。細かい動きを把握すれば、売り上げ向上のために何らかの手を打つことができるかもしれない。そのように考えて白羽の矢を立てたのが、東大発のベンチャー「LocationMind(ロケーション マインド)」の技術である。スマートフォンから発せられる電波をキャッチする装置をモール内にたくさん設置して、お客の動きを分析したのだ。
例えば、A店を訪れたお客が増えて、売り上げがアップしたとしよう。この相関関係がハッキリすれば、A店の来店客を増やせば、売り上げが伸びる可能性が高くなる。次の一手を打つために、同社はあるイベントに着目する。
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