高まる「中国リスク」に日本はどう対処すべきか ジャック・マー氏の見せしめにビザ停止の追い打ち:世界を読み解くニュース・サロン(1/3 ページ)
1月7日、ジャック・マー氏が当局のプレッシャーによってアント・グループの支配権を手放したというニュースが飛び込んできた。1月10日には日本国民へのビザ発給が一時停止された。2023年も「中国リスク」は高まり続けるだろう。日本はビジネス相手として中国とどう付き合っていくべきか?
新年早々の1月7日、中国で電子商取引の最大手であるアリババグループの創業者、ジャック・マー氏についてのニュースが飛び込んできた。
マー氏は、アリババ傘下の決済アプリである支付宝(アリペイ)を提供しているアント・グループの支配権を当局のプレッシャーによって手放したという。この流れは2022年7月に米ウォールストリート・ジャーナルが先行して報じており、それが正式に発表された形となる。
ここのところ、マー氏の動向は日本でも注目を集めていた。というのも、マー氏が中国当局から逃れて日本に滞在していると噂になっていたからだ。
マー氏が日本に滞在していたことは事実であり、日本にいる知人などと接触していたともみられている。そして7日の発表直前には、タイの首都バンコクにある有名飲食店を家族で訪れていたことも確認されており、流浪の生活をしている可能性が指摘された。
アリペイなどを普及させて中国でも最も有名な経営者となったマー氏は、中国政府から「出る杭」とみられて、20年に見事に「打たれて」しまった。金融当局を批判する発言をしたのをきっかけに習近平国家主席の逆鱗に触れ、IPO(新規株式公開)を直前で停止させられたのである。その後、一時、マー氏は消息不明になり、しばらくして牙を抜かれたかのように大人しくなって戻ってきた経緯がある。
こうした顛末を見ると、やはり「中国リスク」がこれまで以上に高まっていることを再確認させられる。特に、日本の企業もビジネスにおいて中国との関係は深かったが、今ではリスクを真剣に考慮しなければいけない状況で、23年はその傾向がますます強まる可能性がある。
「中国リスク」の高まりは、すでに中国に進出している企業の動向からも見えてくる。
関連記事
- メタバースは「次のインターネット」にあらず 吉本と米エンタメ業界が攻める「マルチバース」に商機あり
社名を「フェイスブック」から「メタ」に変更までしたマーク・ザッカーバーグCEOは、「メタバースは、次のインターネットになると考えている」と自信を見せる。しかし、実は「次のインターネット」になるのは現時点では難しいと懐疑的に見る向きもある。「次のインターネット」候補として名が挙がる「マルチバース」とは? - あなたの会社は何点か? “セキュリティレベル格付け”で狙われやすい企業が一目瞭然
2022年もサイバー攻撃の多さが目立った。そんな中で最近注目されているのが、サイバーセキュリティのレベルに点数をつけて「格付け」して、サイバー攻撃への対策を施していくソリューションだ。どのようなサービスかというと…… - 「死者との対話」も可能に? ビジネス規模も拡大する「チャットボット」の現在
死者と再び対話ができるチャットボットがあるという。最近のチャットボットはどこまで進化しているのか、私たちの生活に与える影響とは。 - アヒルの卵からフォアグラ! 世界の代替「ラボ」から学べることは?
世界では、意外なものも含め代替食品の開発が進んでいる。日本に目を向けると、先日デジタル庁が「フロッピーディスク撲滅」を発表したばかり。長期的な視点で、日本がこれから本当に強化すべき道とは……。 - ロシア系ハッカー集団の手口はどうなっているのか? まるで“会社員”のように動く
ウクライナ侵攻に絡んでいるとされる、ロシア系サイバー攻撃集団の「Conti(コンティ)」。イスラエル発のセキュリティ企業「KELA」などへの取材を通じて、その実態に迫る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.